わが友ホロゴン・わが夢タンバール

55.26ホロゴンドラマ4「2008年11月11、12日長崎四日と楽日」26 だが、もはや愛好家ではない


「ファインダーをのぞいて25年がたとうとしている。
私は今もアマチュアだ」

これ、誰の言葉と思いますか?
なんとカルティエ=ブレッソンなのです。
彼は「心の眼」の30頁でこう書いているのです。
マグナム創立の中心メンバーとして、
世界中をルポして、数々のスーパーショットをゲットして、
そのルポルタージュが数限りなく有名各誌の誌面を飾ってきた大写真家が、
自分はアマチュアだ、そう断言するのです。
不可解ですね。
この言葉を読み解く鍵は、この言葉に続く言葉かもしれません。
彼は、続いてこう書いているのです、
「だが、もはや愛好家ではない」
彼は生涯、画家になる望みを捨てなかったようです。
晩年、ついにカメラを置き、絵筆を取った描き続けたようです。
私は絵のことは分かりませんが、どうやらあまり成功はしなかったようです。
本気だったのでしょうか?
それとも、年寄りの手すさびだったのでしょうか?
私にはどちらとも分かりませんが、
分かっていること、それは、彼がある日写真家であることをやめたこと。
カルティエ=ブレッソンは、ライカでないと撮れないような作品群を生み出しました。
でも、心の底では、彼がほんとうに望んでいたこと、それは、
世界を理解することであり、
自分が目撃したさまざまな現実を世界に向かって知らせることだったのであり、
写真はたまたま彼に与えられた手段だった、
カメラ、写真は、彼にとって本質的な媒体ではなかった、
最初の言葉はそんなカルティエ=ブレッソンの想いからのではないでしょうか?
それとも、カルティエ=ブレッソンがカルティエ=ブレッソンの写真を撮るために、
あくまでも黒子に徹して、風貌も面に出せない覆面生活を続けているうちに、
次第に、そんな自分を表に出せない生活に嫌気がさすようになり、
ついには、写真とカメラに対して、いわばアンビバレンツな感情を抱くようになり、
このような発言を誘い出したのでしょうか?

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by Hologon158 | 2009-03-17 22:12 | ホロゴンドラマ | Comments(0)