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57.39 ホロゴン外傳8「イギリス総集編」39 線って、大切だね

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ジャン・ジャンセンの絵で好きなのは、線、そう書きました。
このジャン・ジャンセンよりももっと好きな画家が、
アンドリュー・ワイエス。
このワイエスの特質も線!
ジャンセンの線はシンプル・ライン。
一方、ワイエスの線はマルティプル・ライン。
それも、画面全体に充満し錯綜するライン。
でも、混濁はしていない。
彼の絵の中で一番のお気に入りは、1951年のTrodden Weed。
枯草地の斜面を歩くワイエス自身の足を描いたテンペラ画。
私がこの絵を見つけて、ワイエスに夢中になった話は、
以前に書いた記憶があります。
なにしろ画面全面ほとんどを枯草の線描が埋めているのです。
でも、ちょっと大げさに言いますと、
一本の線として弱いものはない!
その一本一本が気迫に満ちています。
ある学者が、水墨は線、西洋画は面と区分して、
線の水墨は、面の西洋画に優るとしていましたが、
西洋画にも線があり、しかもその線は水墨画に劣らず、力強いのです。
とりわけ、ワイエスにおいては、線が決定的に重要。
たとえば、これも私の大好きな絵なのですが、
1957年のBrown Swiss、これもテンペラです。
がっしりとした白亜の住宅建築と画面下部の水面の映りを描いた作品。
水面は画面一杯に広がっているのですが、
その水面すれすれのところを水平に光る小道が描かれています。
建物以外には、この小道の線だけが陽光を受けて光っています。
その白い線は左端で小さな橋につながっています。
この白い線はこの絵のフォーカス・ラインなのです。
写真でも、線の重要性は変わらないかも知れません。
がっちりとしたラインが写真を支えている、
そんな写真作品が人にアピールするのではないでしょうか?
by Hologon158 | 2009-03-28 01:56 | ホロゴン外傳 | Comments(2)
Commented by andoodesign at 2009-03-29 09:08
僕も学生の頃、表現のお手本とした画家の1人がワイエスでした。
Hologon158さんが東洋、西洋問わず絵画と写真を重ね合わせて思考する感覚、とても伝わってきます。
Commented by Hologon158 at 2009-03-29 19:28
re)andoodesignさん
分かっていただけると思っていました。
私は、古今東西の偉大な画家たちに夢中になっているのです。
金と余裕があれば、日本中、世界中の美術館を巡り歩きたいですね。
どちらもないので、せめて画集だけでもと、少しずつ集めています。
そして、開く度に、びっくり仰天。
ワイエスは、マイナーかも知れませんが、私はこよなく愛します。
視線が得も言われずやさしい!