わが友ホロゴン・わが夢タンバール

88.19 ホロゴンデイ25「2006年2月25日奈良東畑で辿るは過疎の道」19 フェルメールの秘密!

前に書いたんじゃないかと思いますが、そんなことは気にしない。
私がこよなく愛する本の一つがジェラルド・ダレルの少年時代三部作、
その一作目が「虫とけものと家族たち」(池澤夏樹訳、集英社)。
池澤さんが翻訳家としての才能を証明したのはこの本じゃないかな?
とてもスムーズに読めて、数人の会話だけが続いても、
誰が言っているのかはっきり分かる、大変に分かりやすい翻訳なのです。
きっと原文もとてもよいのだと思います。
あのロレンス・ダレルの末弟なのですから。
でも、ロレンス以上にぐっと面白いのです。
ギリシアのコルフ島に移住したダレル一家の家に、
おおむねロレンスを頼って、
それこそ多国籍、多種多様な人たちがあつかましくも長期滞在を決め込みます。
その一人が、ある事件で神経衰弱になってしまった画家。
イタリアで花盛りのアーモンド園を見つけて描きはじめたのです。
下絵もできあがり、翌日、勇んで出かけた。
ところが、夜の間に嵐が過ぎて、花は全部散ってしまっていたのです。
コルフ島に来たのは、その惨事から2年も経っている、
それなのに、まだ彼の精神は快復していないのです。
数年前、そんな惨事に遭遇する心配のない、幸せな画家に出会いました。
近江八幡の画廊で水彩画の個展に出会ったのです。
実に見事な細密画です。
でも、なんだかちょっとおかしいのです。
電線の一つ一つまで細部が実に丁寧に描きこまれています。
でも、画像が、ときに広角ズームレンズにありがちなディストーションを感じさせ、
まるで広角レンズで上向きに撮ったかのように、建物が向こうに倒れ込んでいるのです。
つまり、まず写真に撮って、自宅でじっくり腰を落ち着けて描いているのです。
見事なのですが、どこか嘘くさいのです。
義兄の画家にそのあたりを尋ねたことがあります。
彼、言下に、「写真見て描いた絵はすぐに分かるよ、だって、絵が死んでいる」
どうやら画家って、速筆でなければやっていけない。
でも、フェルメールはきっと極端なほどに遅筆だったのです。
そこで、私は考えるのです、
フェルメールは、だから、いつも自分の家の一室を舞台に使って、
その部屋を綿密に設定し、触ったり掃除したりするのを誰にも許さなかったのだ、
そして、安心してじっくりと描いたのだ!
これが、フェルメールの絵が同じ部屋で描かれた理由である、
と大上段に振りかぶりたいところですが、私が考えたようなこと、
きっと研究者たち、みんな気づいているし、
もっと重要な理由があったことも発見されていることでしょうね。
ブログの中の小坊主、習わぬ経を読むの図でした。

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by Hologon158 | 2009-07-06 17:40 | ホロゴンデイ | Comments(0)