わが友ホロゴン・わが夢タンバール

104.36 ホロゴン写真展2「古色拾い」36 要するに、「脳天気」なのかな?

ジョン・メディナが「ブレイン・ルール」で、忘れない男の話を書いています。
1886年生まれのロシア人新聞記者のソロモン・シェレシェフスキー。
彼は、どんなものでも、たとえば70以上のリストでも、視覚化することによって、
どんな形であれ、復唱することができ、15年後でも同様だったのです。
すべてが個別的な情報として、脳の中に蓄えられたのです。
ところが、これらの記憶をたがいに組み合わせて、組織化することができなかった。
忘れることができないために、日常生活にも困るほどだったのです。
ボルヘスも、短編小説「記憶の人フュネス」で、すべてを記憶してしまう人間が、
どんな悲劇に陥るかを描いてくれました。
メディナは、日常生活をスムーズに送り、思考を組織化するためには、
忘却が不可欠の役割を果たすと述べています。
記憶のスペースを優先度を付けて確保し、
優先度の劣る情報を速やかに忘れることができるからこそ、
人間は、必要な情報を蓄え、利用できるように組織化することができるのです。
あなたはいかがですか?
どんな細かいことでも、ちゃんと覚えていますか?
私は、たいていのことは全部忘れてしまいます。
記憶力がよくないことは超一流の私ですが、
メディナ氏の説明を読んでいて、だんだんと、自分は幸運だったのだなと思うようになりました。
おかげで、私は、ずばっと一番本質的なことだけをつかみ出す名人か、
それとも、ずばっとつかみだしたものだけが、自分には大切なものだと思いこむことで、
思考を自分勝手に単純化できる名人か、そのどちらかなのです。
それとも、ときには前者、ときには後者なのかも知れません。
それの方がいかにもありがちなことです。
とすると、私という人間は別の意味で、厄介を抱え込んでいるのかも知れません。
つかみだしたものが、本質的なものか、それともアトランダムに抽出したものががせネタか、
どうやって区別をしたらよいのでしょうか?
こいつは厄介です。
そこで、こう信じることにしています。
私は、木を見ずに森を見ることのできる名人なのである、と。

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by Hologon158 | 2009-09-04 00:08 | ホロゴン写真展 | Comments(0)