わが友ホロゴン・わが夢タンバール

138.05 ホロゴンデイ41「2009年8月15日平野の下町人生また楽し」5 タペストグラフィ

東郷隆の「明治通り沿い奇たん」の「キリム」を読んで、
ペルシャ絨毯のことを思い出しました。
キリムはクルド系の平織りの敷物だそうです。
キリムとペルシャ絨毯とがどう違うのか、私にはさっぱり分かりません。
イスタンブールに2週間滞在して、来る日も来る日も路地裏を歩いて、
ロボグラフィを撮ったのですが、そのある日、
トルコ人が英語で話しかけてきて、「いい絨毯があるよ」と勧誘してきました。
私はもちろん一蹴しました、
「絨毯は買わないよ、買い物もしないよ。そんな暇も金もないよ」
彼、「アメリカ人か?」
(これ、一種のお世辞のつもりなのです。
私が日本人であることなど、とっくに分かっている。
日本人なら、英語がうまいという表現で、喜ぶことをちゃんと知っている)
私、自分の英語がむちゃくちゃであることをよく知っているので、お世辞には乗らない。
「違うよ、アメリカ人じゃないよ」
「まあいいから、お茶を飲むだけでいいよ、ちょっとおいでよ」
私、ちょうど一休みしたいときだったので、ついていきました。
私の場合、心配はいらない。
クラシックカメラ店にこんな風に連れ込まれると、もうアウトですね。
でも、その他のお店なら、よっぽど私自身が狂喜乱舞するような、
私にとっての逸品が見つからないと、どんなに甘言を弄されても、ちらっとも心を動かさない。
お店は、予想以上に堂々たる構えのペルシャ絨毯の専門店でした。
二階にのぼると、絨毯を敷き詰めた大広間。
周囲の壁にはびっしりと絨毯の巻いたのが林立しています。
トルコ珈琲を出してもらい、しばらくペルシャ絨毯の作り方の講義を受けました。
それが本当かどうか、私には分かりませんが、
なんでもできあがった新品はお店の前の道路にどんと敷いておくそうです。
人が通り、足で踏みにじり、動物が通り、上で糞をする。
砂が、泥がつき、雨に打たれ続けます。
どれだけの期間そうするか忘れましたが、半年ほどだったでしょうか?
期間が経過すると、取り込んでしっかりと洗うのです。
すると、輝くように色がしっかりと定着した美しい絨毯が出現するというのです。
このハナシを聞いて、笑ってしまいました。
「艱難汝を玉にす」
「可愛い子には旅をさせ」
こんなことわざを地で行く鍛えかたですね。
絨毯の織り方で、そんな酷烈なる取り扱いにも耐えることができるのです。
そして、厳しい環境をしのげばしのぐほどに、美しくなる。
すごい方法です。
え、それで、感激して、ペルシャ絨毯を買ったかですって?
もちろん、買いませんよ。
さっき、書いたじゃないですか?
狂喜乱舞しないようなものは買わないって。
でも、幾枚か見せてもらって感じたこと、それは、
絨毯の模様はホロゴンに通じる。
幾度か、私はホロゴンでタペストリーのような写真を撮りたいと書きました。
タペストグラフィという言葉もわざわざ作っています。
全画面をびっしりと埋めるデザイン。
夢ですね。

138.05 ホロゴンデイ41「2009年8月15日平野の下町人生また楽し」5 タペストグラフィ_c0168172_20165616.jpg
138.05 ホロゴンデイ41「2009年8月15日平野の下町人生また楽し」5 タペストグラフィ_c0168172_2017534.jpg

by Hologon158 | 2010-02-19 20:17 | ホロゴンデイ | Comments(0)