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166.34 ホロゴントラベル3「1999年8月アイルランドでケルトの神秘を体験し」34 「北越冬譜」躍る!


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ドラカメさんという難関をなんとか切り抜けて、
さあ、なにを書いても、どんと平気で受け止めてくれると分かっている人物の番です。

    いとしのブロガー写真展回顧3 nontanさん

三人展のyoshiさんをのぞいて、おそらくnontanさんの展示ほどに、
    スケールが大きく、強烈なるインパクトを備えたプレゼンは、
    日本でもあまりないのではないでしょうか?
    もちろんパリのポイピドーセンターで森山大道さんが超大伸ばしで
    びっしり壁面を埋めたことは別格中の別格です。
    そして、個展なら、あれこれと類例はあるでしょう。
でも、見せかけだけ大きくしても、写真が小さければ、逆効果になります。
    nontanさんのプレゼンの強烈さは、写真そのもののインパクトがあればこそ。

nontanさんのプレゼンのイメージは、羽ばたく鳳凰なのかも知れません。
    中央の全倍パネルがとにかく目立ちます。
    ブルー一色に染まる、日の射さない谷間深くの渓流に伸びた倒木の枝。
    倒木にわずかに光が射しているのでしょうか、わずかに輝き、
    その部分だけに合焦して、枝の他の部分、岩はぼけて、
    超低速シャッターのおかげで、水はふんわりと白い雲のよう。
    この枝がこちらにぐっと突き出して、インパクト十分。
その上には、中央の枝の運命を物語るような、逆さまになった巨大な倒木のモノクローム。
この2枚と、両翼の中心となっているカラーの2枚だけが全倍。
    この両翼の全倍も、右の霧の牧場、左の雪に沈む浜の町、
    黄金分割でほぼ同じ高さの地平線の下が大地、上が中央の地面と空。
    まるでオランダ画派の風景画のような、押さえた色調の堂々とした構図。
このメインの枝の全倍の下と両翼2枚の上下に各2枚ずつ、
    すべてさむざむとして光のない冬景色。
    これがみんな荒涼とした北越のさみしさに満ちています。
    通常の風景写真家とはまったく異なる視点で、さらに深みのある風景画。
    さすがにブログ界の大御所のスター写真家です。
    これだけなら、鳳凰の胴体と両翼を形作る、
    身の引き締まる酷寒の、寂寥に満ちた、冬の作品集、
    北越雪譜をもじって、
            
        「北越冬譜」


ところが、プレゼンはそれだけではないのです。
    ここから、nontanさんの大物たる由縁が明らかになります。
    この鳳凰の胴体と両翼との間に、4枚1セットの縦列が挿入されている!
    鳳凰が胴と翼との間に、なにか挟んで飛んでいる、そんな図になっています。
    右は、夏の浜辺の若者たちの生態、
    左は、静物画集。
    しかも、左縦列の一番下には、大鉢に盛られた真紅の実(サクランボのような、
    ちょっと大ぶりの実)の華麗なる静物画。
    全部そろって、本体シリーズとは完全に異質。
nontanさんに尋ねました、
    「どうして、この静物画を入れたんですか?」
    彼、にっこり笑って
    「これは入れたかったのです」

a1 Photoさん、見た瞬間、やっぱり、
    「両側の縦の2列、いりませんね」

    一刀両断、怪傑黒頭巾みたいな人なのです。
    怖いですね、a1 Photoさんには写真展隠した方がよさそうですね。

でも、実は、私もa1 Photoさんに賛成です。
    別の機会に、別のコンセプトでお出しになるべきで、
    この写真展では、「北越冬譜」一本で構成すべきでした。

nontanさんのプレゼンは、中央の青い渓流の作品の真ん前で、
    2メートルばかり離れた位置で、全体を見渡しつつ見るべきです。
    それで初めて、nontanさんの仕掛けの大きさが分かる。
    そうしてみると、中央の胴体の列の底が抜けている感じがしてきました。
    つまり、鳳凰の足がないので、ちょっと重心が高すぎる感じ。
    そのことをnontanさんに申し上げますと、謙虚な方ですね、
翌日、メインの下の小写真2枚の下に、もう1枚加えられました、
    巨大な枝がぐっと上の方に突き上がっている、モノクローム。
    そのうえ、左側の縦列を左翼の上の2枚とさしかえ、
    縦列2セットを削除しなくても、全体テーマを冬に統一できました。
    その結果、大地に根が生えて、
    全体のイメージが鳳凰からいのちの大樹に変わりました。
    北欧神話のユグドラシルのように、大地から亭々たる巨木が起ちあがる。
    さらにスケールが増しました。

もう一つの変化に気づいて、思わず笑ってしまいました。
    私もa1 Photoさんも、真紅の静物画は主題と外れるので、
    要らないとあれほどはっきり言ったのに、
    左縦列の底部にひっそりとうずくまっていた真紅の静物画は、
    左上からここに移された2枚の冬の写真の間に1段昇格。
        「誰がなんと言おうと、私はこの写真を見せたいのだ!」
    恐れ入りました。
by Hologon158 | 2010-08-17 15:43 | ホロゴントラベル | Comments(0)