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170.21 ホロゴンデイ53「2010年5月11日大阪玉造から鶴橋へ下町お遍路」21 プラハの詩人


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ヨーゼフ・スデク
    「プラハの詩人」とうたわれた、チェコの写真家です。
     第一次世界大戦に従軍して、右腕を失いながら、
     生涯大判カメラを駆使して、美しいモノクロームの作品を作りました。
彼の美しいグラデーションの写真に魅せられて、私も一冊手に入れました。
    Josef Sudek   Poet of Prague (aperture刊)
アンナ・ファロヴァによる評論も付いていて、プリントも美しい。
    彼の生涯にわたる写真を見ていて、感じることがあります。
    私とは、美意識がかなり違うのです。
    もちろん一致している部分があって、そのときのスデクは格別です。
    ところが、かなりの写真は、私の美意識から見ると、雑音と思われる、
    さまざまなガラクタが画面の至る所にわざと置かれて、
    主題を弱め、主題の美しさを減殺するように仕掛けられています。
    スデクのポートレート、スナップが沢山収められているのですが、
かなり狷介な人物だったようです。
    左手一つで重い大判カメラと三脚とを駆使したのですから、
    その頑強さと意志力は大変なものです。
    その頑強さが写真にしっかりと顕れている、そんな感じがします。
    山水画、日本画の伝統を喜ぶ人生を送ってきた私とは、
    かなり違った伝統の下で、かなり違った美を追究した人のようです。

でも、彼のパノラマ作品は文句なしに美しいですね。
    ディストーションがないので、ひょっとすると、
    大判カメラの上下をカットしてトリミングなのかも知れません。
    奥行きがその長辺一杯を使って、巧みに表現されています。
    長大なのに、見事に構成されています。
    まるで山水画のように、いくつもの視点が組み合わされているようで、
    いくつものポイントがあるのですが、それでいて統一感がないわけではない。
こうしたパノラマ作品を見てから、彼の他の作品を見ますと、
    そうか、スデクという人は、むしろ油絵の視点、感触で撮っていたなと気づき、
    そう気づいてみると、彼の作品のもつ厚み、重層構造が納得できます。
そんなわけで、彼の写真集を見るときは、行きつ戻りつ、
    さまざまな時代とフォーマットの作品群の中を泳ぐ、
    そんな感じがしてきます。

20世紀最高の写真家の一人に数える人がいるものもうなずける感じがしてきました。
by Hologon158 | 2010-09-01 00:30 | ホロゴンデイ | Comments(0)