わが友ホロゴン・わが夢タンバール

183.35ホロゴンデイ55「2009年12月12日奈良町の冬は侘びしくも濡れ」35 人間が違う!


前にも書いた記憶がありますが、
     大写真家林忠彦さんは、前回の写真家の皆さんとはかなり違いますね。

林さんが長崎を撮ったときのお話。
     長崎の二科会のメンバーが、案内がてら、実は完全追跡。
     林さんがヤシカ・コンタックスを常用されたことは有名です。
     二科会のメンバーも林さんと同じカメラ、同じレンズを揃えて、
     林さんがプラナー85㎜f1.4を出した途端に、同じレンズを出し、
     林さんの絞りを読み取って、同じ場所から同じ方角差して撮ったのです。
     ところが、写真集が出版されて、開いてみて、がっくりしたそうです。
     まったく似ても似つかぬほどに、空気感と歴史のたたずまいに溢れた、
     重厚そのものの作品が並んでいたのですから。

林さんは、撮影するところを隠す必要などなかったのです。
     撮影の技法、技術の問題ではない。
     人間そのものとセンスをしっかりと写真に定着できる人だったのです。
     付け焼き刃で、真似をしたって、及ぶものじゃない。
     大切なのは、形ではなく、中身だったわけです。
そう考えると、前回の写真家たちとは人間の大きさが違いますね。
     写真に対する考え方もぜんぜん違います。
     林さんのような人が、ほんとうの大写真家ではないでしょうか?

こんな風に書きますと、腕自慢のあなた、
     ひょっとすると、こんな風に考えているかも知れませんね。

     いや、それはきっと、同じレンズでも、性能が全然違うレンズだった。
     出版社が印刷のときにかなりいじって、
     原版とは似ても似つかぬアートにしてしまったのだ。
     アマチュアと違って、どっさりフィルムを消費するから、
     その中からベストショットを選ぶことができたのだ。

     わたしがその場にいたなら、
     きっと林忠彦の写真なんかに負けないものを撮っていたはずだよ、
     間違いない。

こんな風にもしお考えでしたら、それも結構でしょう。
     でも、その自信過剰があなたの命取りになるのでは?
     密かにそんな風に感じてしまうのです。


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by Hologon158 | 2010-11-02 15:45 | ホロゴンデイ | Comments(0)