わが友ホロゴン・わが夢タンバール

186.09 ホロゴンニュース「ちびだけど、凄いレンズがやってきた!」9 無垢の目で写真を


ペラール35mmf3.5、
    こんな風に試し撮りを見て参りましたが、
    とても素直で、人間的な写りなので、
    クラシックレンズの風格を感じさせられてしまうのは、
    私だけでしょうか?
今回の一枚は、いわゆるピーカンの輝度差の激しい場面ですが、
    かなりおっとりと仕上げてくれている感じがするのですが.....


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さて、前回の話を続けます。
    私たちは、たとえば、大写真家が撮ったという一事だけで、
    ろくでもない写真まで、無理に評価しようとするきらいはないでしょうか?
    本当のところは、

        よい写真は、誰が撮っても、よい。
        よくない写真は、誰が撮っても、よくない。

「裸の王様」の子供のように、
    無垢の目で写真を鑑賞したいものです。
    そうすれば、今までベールに隠されて見えなかったものまで、
    すっきりと目に入ってくるようになるかも知れません。

現代にもてはやされている大写真家たちは、
    ある種の現代的傾向、流行の中で、
    今、全盛であることから来るオーラに包まれています。
    みる方では、今まさに旬の写真芸術を理解しなければならない、
    という強迫観念があります。
    分からないと、センスがない、鑑識眼がない、そう思われてしまう。
ですから、書店で、たとえば、森山大道の写真集がそこにあると、
    開く前から、最高に評価する心の準備が一瞬にできあがります。
        「わっ、大道だ!」
    頁を開いた途端、
        「すっごい!
         これでなくちゃ!」
    これが分からん人間は、もうアートを語る資格なしと言わんばかり。

かっこいいですね。
    でも、ご自分でも、心の内を正直に探ってみると、
    内心ジクジたる思いがこみ上げてくるのではないでしょうか?
    
        ああは言ったものの、どこがいいのかなあ?
        ほんとは、わからないんだけどなあ。
        まあ、いいか。
        かっこよく決めることができたんだから。
        そのうち、きっとわかるようになるよ。
        だって、ほんとに大写真家なのだから。

    なにも知らない人に、こんな風に思わせることができる、
    これが、まさに「カリスマ」なのでしょう。

吉田正さんは、そんな訳の分からぬオーラとは、自他ともに無関係。
    写真初心者だからと言って、
    その写真は見る価値なしなどとは、決して考えません。
    誰の写真でも、先入観なしに、しっかりと見つめて、
    虚心坦懐に、写真の語る言葉に耳を傾けることができる人です。
このあたりの広々として奥行き、ふところの深い人間の作りは、
    私が尊敬するもう一人の写真家の林孝弘さんととても似ています。
    お二人とも、ご自分の豊かな写真世界をもっておられて、
    どんな人間であれ、写真を純粋に愛する人間でさえあれば、
    その人自身の写真世界を知ろう、理解しようとされます。
    決して、自分の世界に引き込もうとか、
    自分を理想型に祭り上げて、同じような方向に向かわせようとはされない。
    世に多い、そんな先生面をまったくされない。
むしろ、いわゆる「メントール」なのです。
    弟子の心を広々とした沃野に向かわせて、
    自分自身の写真世界に向かって開眼できるように、
    そっと見守り、育ててゆく精神的指導者。

    こんな写真家、ざらには居ません。
    居て、たまるか!
    そう、むしろ申し上げたい。
by Hologon158 | 2010-11-15 11:58 | ホロゴンニュース | Comments(0)