わが友ホロゴン・わが夢タンバール

193.19 ホロゴントラベル8「2005年2月25日、岡山牛窓は絶好のホロゴン日和」19 気楽が一番


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ドイツ生まれの抽象画家エミール・シューマッハーは、
    時々手で絵の具を塗りつけたそうです。
    革命的な技法を追い求めていくとき、
    結局は、規範、常識そのものをぶっ壊す羽目に陥るものです。

彼は述べた次の言葉が、彼の苦闘を物語っています、

        「境界の向こうの未知の世界に入っていける隙間を見つけようと、
         壁に近づくように、絵に近づく。
         一旦そうできれば、もはや神秘的ではなくなり、
         別の新たな壁が目の前に現れる」

この言葉を読んで、私は、はたと手を打って、
    こう考えたでしょうか?
        「そうだ、そうだ!
         新しい表現を求めて、ホロゴンにたどり着き、
         使い続けたけれども、その壁を破るたびに、
         新しい壁が現れるんだ!」
    ふ、ふ、こんなことちっとも考えませんでした。

私は、新しい写真を求めて、ホロゴンに飛びついたわけではありません。
    どうしようもなく人物が死んでしまうので、
    超広角レンズなら、もっと生き生きとした写真になるのでは?
    これがホロゴンに向かった理論的動機ですが、
    ほんとの所、このカリスマレンズに運命的に出会ったために、
    使えるかどうか、どう使うかなど、考えもせず、
    また、考えても、分かるわけもなく、
    やみくもにホロゴンウルトラワイドを手に入れ、
    それから14年半四苦八苦してきたわけです。

技法なるものは、最初に決まってしまいました。
    いつも書きます、超接近水平垂直撮影法。
    あとは、ここはどう撮れるかな、という好奇心一辺倒。
    苦労知らず、歓びだらけの14年半。
    未だに、ホロゴンを使いこなせないことなど、気にならない。
超広角の使い方など、私は知りません。
    ただ、勝手に決めた超接近水平垂直撮影法で撮るだけ。
いつしか、ホロゴンの使い方の秘伝を会得するのでは?
    そんな期待はすべて捨てました。
    ホロゴンは、私よりはるかにでっかい。
    よじ登ろうとしても、とても無理。

今、ホロゴンがくれるもので満足するだけという境地。
    これもまた悟りの一種なのかも知れません。

    苦労したシューマッハーは美術史に名を残すでしょう。
    私は、どこにも、なにも残さない。

    気楽なものです。
by Hologon158 | 2010-12-06 22:02 | ホロゴントラベル | Comments(0)