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242.02 ホロゴンデイ72「2011年1月29日 正月恒例の近江八幡巡りは快晴」2 古代史捏造の怪


毎日新聞社旧石器遺跡取材班「古代史捏造」(新潮文庫)
面白い本です。

2000年11月5日朝刊でスクープされた、
東北旧石器文化研究所の藤村新一副理事長の遺跡捏造事件。
なんとまあ、旧石器時代の重要な遺跡とされていたものの大半は、
この人による捏造だった!

日本の旧石器文化は、世界最古、それもどこまで遡るか、
日本中の考古学好きの人たちを熱狂させていた、
さまざまな大発見は全部彼の手による自作自演のフィクション!
これによって、日本の旧石器文化に関する研究は完全に崩壊し、
未だにその痛手から立ち直ることができない惨状。

藤村は、なんとなんと28年余、捏造を続けてきたのです。
検証の結果、42の遺跡で発掘された石器等の遺物の90%は、
彼が自分で埋めて、自分で発見してきたというのです。

この本でも一番問題にしているのは、
なぜ、その間、捏造がばれなかったのか?

私は考古学は完全に門外漢です。
でも、そんな私にも分かる疑問があります。

① まず発掘状況
どの地層からどんな状態で発見されたか?
この基礎事実をしっかり記録し、検証することが前提条件、
それ位のことは分かります。
そうすると、遺物らしいものがちらっとでも見つかったら、
ただちに写真係を呼び、一々写真を撮りながら、掘り出し、
全貌がどんな地層にどんな形で埋蔵されていたかを記録する、
これが手順ではないでしょうか?

たとえば、石器の埋蔵状態の特定は、時代の確定に必須のはず。
水平なら、その平面の地層の時代でしょう。
でも、垂直なら、地層にどんな風に埋没しているかで、
どの高さの時代か決めることになりそうです。
だから、取り出すときには、周囲の土付きのまま取り出し、
取り出した後がどうなっているかも記録すべきでしょう。
これらすべてが年代測定の資料になるのですから。

ところが、藤村は、一杯ポケットのついたベストを着用して、
掘りながら、ポケットの石器を埋め込んだというのです。

石器は、地下の固い地層にがっちりと圧着されているのですから、
泥土のようなものがみっちりと密着したまま発見されるはずです。
藤村が、別の場所の土付きのまま埋め込んだら、
土の色が全然違うのですから、たちまちばれます。
ですから、石器はきれいに土を落として持ち込まれたはず。
子供の頃、石を地面から掘り出して遊んだことがありませんか?
石を取り出すと、石にはみっちりと土が張り付いています。
まして、地層の中に埋没していたのですから、
上面にもみっちりと土が張り付いているはずなのに、
きれいに乾いた石が出現するって、どういうことですか?

後には、取り出した石器の面にぴったり合う穴が残ります。
早朝などに、ひそかに埋め込んでおいたものもあったそうです。
そんなとき、そんな穴が残るように埋め込むことなど不可能です。

それなら、専門家たちの目に、どのようにして、
地中深く埋没していたはずの石器だと納得させたのでしょうか?

② 次に研究
遺物はただちにさまざまな時代の石器と比較対照され、
石器の石質、形状、用途等の性質によって、
その遺跡の石文化を明確にすることになるはず。

発見された地層にふさわしい時代性を判定する作業をすれば、
この石器は、ちょっと違うんじゃないのと、
すぐに分かったのではないでしょうか?

この点、あれこれ言いたいことが浮かんできます。
次回にもう少し考えてみます。



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by Hologon158 | 2011-06-21 00:27 | ホロゴンデイ | Comments(0)