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242.05 ホロゴンデイ72「2011年1月29日 正月恒例の近江八幡巡りは快晴」5 3年はもたない?


菅首相、なかなかの狸ですね。

いかにもすぐにやめそうな素振りまたは口約束で、
鳩山さんを籠絡して、まんまと内閣不信任決議否決に持ち込み、
その後は、あれが済んだら、これが議会を通過したら、と、
ほんの少し未来に口実をもうけながら、
どうやらどこまでも首相の座に居座ろうという作戦ですね。

私の大好きな叙事詩「オデュッセイア」を思い出しました。

イタケーの王オデュッセウスがトロイア戦争に出かけたまま消息不明。
日本が、首相の居座りに耐えかねる状態になっているのとは裏腹に、
イタケーでは、王の不在に次第に耐えかねる状態となります。
そこで、イタケーの貴族たちは相談します、
誰かが美しい王妃ぺーネロペイアをめとることができたら、
その人を王にしよう。
ぺーネロペイアは、夫の生存を信じ、その帰国を待ちわびていますが、
強い後ろ盾もないまま、貴族たちの要望に押し切られてしまいます。

そこで、ぺーネロペイアは名案を思いつきます。
大広間に大きな織機を置いて、とても細い糸で衣を縫い始めます。
年老いた舅の死に装束を織りおえたら、要望に応えましょう。
そうして、昼は織り、夜は松明を側に近づけて、解きほぐしたのです。
3年は見破られずに、ゆっくりゆっくりと織り続けました。
ところが、召使いの女性がこの企みを求婚者たちに漏らしてしまい、
ついに現場を押さえられてしまいます。
もう、逃れることはできないと観念するぺーネロペイア。
でも、ちょうど折良く、夫が帰還します。

岩波文庫に素晴らしい翻訳が出ていますので、是非お読み下さい。
凄い作品です。
なんとまあ、3000年ばかり前に、すでに心理小説が創造されていました。
主人公たちは、希望、不安、疑い、愛情、憧憬、怒り、憎しみ、忍耐など、
さまざまな心の揺れ動きを見せながら、大団円に向かって進みます。
そして、驚くべきことに、フラッシュバックの手法まで見せるのです。
さまざまな時間、場所が交錯します。
3000年前の吟遊詩人は、この複雑な小説を記憶して、朗誦し、
ギリシア人たちはその複雑極まりない内容と時間関係を記憶しつつ、
血湧き肉躍るお話を思う存分楽しんだのです。
不思議なほどに、現代的な小説。
その後、現代に、フラッシュバックの手法が再発明されるまで、
これほどに時間を交錯させてまとめ上げた文学は絶えてなかった!
まったくの驚きです。

菅首相、ひょっとしたら、若い頃、この本を読んだのでしょうか?
でも、丁度よい時に姿をあらわして、彼のために首相の座を安泰にしてくれる、
オデュッセウスがいるのでしょうか?
とても、3年はもたないのではないでしょうか?
でも、まだもう少しは、延命策を繰り出してきそうですね。



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by Hologon158 | 2011-06-22 00:07 | ホロゴンデイ | Comments(0)