わが友ホロゴン・わが夢タンバール

249.14 ホロゴン外傳20「2011年6月5日 クック・キネタールが安土に出会った日」14 澄んだ音楽が


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クレーの作品を見て、これはクレーだと感じさせるもの、
私はそれを、音楽性だと思います。

彼がすぐれたバイオリニストだったことも手伝っているのかもしれません。
絵から、澄んだ音楽が流れてくるのです。

腹立たしいとき、行き場のない怒りを感じるときなどに、
美しい絵にじっと見入ると、
心がすっと清められるように感じるのです。

どんな音楽?

難しいですね。
音楽そのものがはっきりと流れ出てくるというわけでもありません。
そんな雰囲気が漂ってくる、というところでしょうか?
それでも、誰かの音楽を思い出させる、そんな気配.....

単純なパターンを重ねる手法、
サティ、と言いたいところですが、
ちょっと違う。
瑞々しい色彩が意表を突いた展開をする、
モーツァルト? 
やっぱり、違う。

変幻自在で、しなやかで、しかも剛さもある、
プーランク、みたい。
今、さっと浮かんだのは、この人でした。

でも、ほんとのところ、
クレーの作品はたがいにあまり違いすぎているので、
いろいろな音楽が響いてくるのが当然かもしれません。

代表作の「パルナッソスにて」なんか、
数知れる色がさざめきあいながら、
堅固だけど軽やかな殿堂を築き上げて行く、
リヒャルト・シュトラウスの「ナキソスのアリアドネ」が響いてきます。

よく考えてみますと、クレーに限らず、心にビンビンと響いてくる絵からは、
たいてい音楽が聞こえてきたり、また、絵そのものが音楽だと感じるものです。

ブリューゲルの「雪中の狩人」を思い出してください。

それが芸術の証明の一つなのかもしれません。
だから、芸術は心を癒してくれます。

逆に言いますと、心を癒してくれないアートは、私には無縁です。
不安、怒り、絶望を表現するアートは、悪いけど、ごめんこうむります。
私は、私ごのみの芸術だけを私の周りに集めたい。
それが、私のこの世の悪の攻撃から私の魂を守る砦なのですから。
by Hologon158 | 2011-07-19 21:34 | ホロゴン外傳 | Comments(0)