わが友ホロゴン・わが夢タンバール

254.07 ホロゴン外傳21「2011年7月16日①キノ19/1.5が鶴橋に分け入った」7 1930年代万歳



254.07 ホロゴン外傳21「2011年7月16日①キノ19/1.5が鶴橋に分け入った」7 1930年代万歳_c0168172_12482513.jpg

254.07 ホロゴン外傳21「2011年7月16日①キノ19/1.5が鶴橋に分け入った」7 1930年代万歳_c0168172_12481783.jpg




SPレコード茶論クラシック編後半には録音のよいものが並びました。

まず、ヨハン・シュトラウス「皇帝圓舞曲」
カラヤン指揮ウィーンフィル、1946年録音です。

カラヤンはまだナチ戦犯容疑が解けていなかったのですが、
コロンビアレコードの名プロデューサー、ウォルター・レッゲが、
カラヤンに惚れ込んで、容疑が解けるのを予定して、
ただちに商品化できるように、先行投資をしたのだそうです。
堂々たる演奏でした。

カラヤンという人は聴かせ処になると、魔法のように絢爛に盛り上げますね。
犬猿の仲だったジュセッペ・ディ・ステファノをわざわざ起用して録音した、
プッチーニの歌劇「トスカ」でも、ここぞとなると、
もう圧倒的に盛り上がる、気迫満点の演奏でした。
なにしろ冒頭出だしに「ウーッ」と気合いの声まで入っているのですから。

でも、カラヤンの3年後の1949年にカール・ベームが指揮した、
ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「天体の音楽」
これには仰天しました。

私の大好きな曲です。
カラヤンのウィンナ・ワルツの夕べにもプログラム2番目。
私はこの演奏、この曲をこよなく愛してきたのですが、
カール・ベームと1949年のウィーンフィルには降参。

SPレコードのせいもあると思いますが、
その名人芸的な演奏の素晴らしさには圧倒的な迫力がありました。
0.001秒あたりでの繊細微妙な味付けが独特の香りを生み出して、
世界に冠たるウィーンフィル・サウンドを生み出していることを、
これほどに納得できる演奏に出会ったことがありません。

ローカルに徹することで、世界的となった稀有のオーケストラ。
来て良かった、そう実感できる瞬間でした。

最後が、ラベルの「ボレロ」

なんと作曲家自身がコンセール・ラムルー管弦楽団を指揮して、
1929年にフランス・ポリドールで録音したものです。

昔、ある音楽評論家がレコードコンサートでボレロをやったそうです。
スタートして、静かにボレロが始まるのを確認して、部屋を出ました。
トイレにでも行ったのでしょうけど、ボレロに限って、
そんなことはするものではありませんね。
最初はかすかにかすかに始めるのに、最後は阿鼻叫喚で終わるのですから、
ボリューム設定がとても難しいのですから。

帰ってみると、
主催者の誰かが気をきかせてボリュームを上げていたのです。
今さら、ボリュームをおとすわけにまいりません。
終わりの頃には、その超絶サウンドに耐えかねて、
参会者ほとんど全員が室外に退避したそうです。

その点、ラベル指揮のレコードは絶妙のボリュームコントロール。
最初からかなりボリュームが大きいので、
独奏楽器のサウンドの妙味を1つ1つ味わえます。
後半になって段々と楽器が増えてゆくにつれて、
段々とボリュームを下げ、最後の全合奏パートでは、
SPレコードのダイナミックレンジの一杯に鳴りきっていました。
さすがに4面目はちょっとひずみましたが、とても聞きやすい録音でした。

面白いことをききました。
SPレコードの標準は78回転です。
これまでラベル指揮のこのレコード、眠い演奏として悪評だったそうです。

OYさん、ある記事で、ある時期までポリドールなどでは80回転だったと読んだのです。
そこで、今回は80回転に上げてくれました。
眠いどころではなく、退屈させない充実して楽しい演奏でした。
久しぶりにSPレコードと音楽を楽しみました。
by Hologon158 | 2011-07-31 12:52 | ホロゴン外傳 | Comments(0)