わが友ホロゴン・わが夢タンバール

265.33 ホロゴンデイ76「2006年11月9日故郷大和高田にホロゴンとお忍びで」33 沿道サービス



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「奇蹟の画家」(講談社)とは、

   石井一男さん。

グーグルで検索すると、沢山、絵を見ることができます。

ルオーに似ているように見えるのは、おそらく小さな印刷のせい。
ルオーの実物をご覧になったことがありますか?
かなり大きな絵で、大変な量感をもって迫ってきます。
石井さんの絵はとても小型で、
しかも、グワッシュで描かれているようですから、
実物の印象は、ルオーとはまるっきり異質だろうと予測できます。
観てみたいですね。

その石井さんが書いた文章が印象的です。

   あれは、夕刊紙を地下鉄の駅に運ぶ仕事をしていた頃だった。
   体調が悪く、うつうつとした日々が続いていた。
   頭の中がもうろうとして息苦しく、宗教曲の流れる中、
   ぼんやりとした意識で窓ぎわにもたれていた。
   死が間近にあるとかんじられた。
   地下鉄の電車の中。
   乳母車から赤ん坊を抱き上げたお母さん。
   無垢な赤ちゃんの笑顔。
   慈愛に満ちた母親の姿。
   涙ぐんでいる自分がいた。
   駅を下り、仕事道具のキャリーを手に、
   少し思い気分で帰り道を急ぐ。
   その瞬間、目の前に閃光が走った。
   ふだん、普通に見慣れた光景が、
   そして、ゴミのようなものまでが、
   美しく光り輝いて見えた。
   幻覚なのか、
   死を間近に意識したことが完成を鋭敏にさせたのか。

これが、成人してから絵を描いたことがなかった石井さんが、
突然、絵を描き始めて、独創的な作品群を売るあてもなく、
描き始めたきっかけだったそうです。

こんな風にして、
1人の天才が内に秘めた才能を開花させたのです。

でも、私がここで書きたかったことは、天才のことではありません。
私のような凡才でも、誰もが、写真を撮るときには、
似たような体験を経ているのではと、気づいたからです。

私はよく「沿道サービス」と書きます。

   路傍で、普段誰にも目を止めてもらえないようなやつらが、
       「わっ、ホロゴンさんが来た!
        撮って!
        撮って!」
   と、旗を振って出迎えてくれるのです。

紫外線を見える蝶々の目には、
花が闇のなかの電灯のように見えるそうですが、
私の場合も、次々とそんなロボグラフィが光ってくれます。
要するに、何でもござれ!

   私のすることは、
   右向いてチャッ、左向いてチャッ!
   これだけ。

写真にどう撮れるかは、少なくともホロゴンの場合、無視。
レンズたちがちゃんと撮りたいように撮るのですから、
邪魔をしないようにするだけ。

作家精神をおもちの方にはこうは行かないかもしれません。
むしろ自分が求める情景にぶつかるまで、彷徨うことになりそうです。

要するに、素人として、どう撮れるか、試してみたい、
そんな気持ちになれたら、どなたも同じ状態になるはず。

と言っても、どなたも私のようなことをしたいとは
お考えにならないでしょうね。
自己放棄もいいところだからです。

   私は平気。
by Hologon158 | 2011-09-11 22:05 | ホロゴンデイ | Comments(0)