わが友ホロゴン・わが夢タンバール

275.25 ホロゴンデイ77「2005年12月3日京都左京区あたりをホロゴンで」25 e4を見つめていた



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小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」(文藝春秋)を読み始めています。

63頁まで読みましたが、私の好きなタッチの小説です。
とても変わった生まれと性格を持つ小さな少年が
チェスに魅せられるところまで読みました。

   バスに住む肥満漢(マスターと呼ばれる)が彼のメントール。
   マスターは、少年にチェスノートをプレゼントし、棋譜法を教えます。
   記念すべき第一戦の最初に先手の1手をうち、
   少年はチェスノートに「e4」と記します。
   少年のその後の人生の第一歩。

そして、作者はこんな風に書きます、

   しばらく少年はe4を見つめていた。
   狡猾や荘厳や証の意味は知らなくても、
   e4が醸し出す特別の光は感じ取ることができた。
   その光がなぜ特別なのか、
   なぜならそれが自分の力で刻みつけた足跡であり、
   自分の死んだあともずっと残るからだと、ちゃんと分かっていた。
   少年はマスターが思うよりも、少年自身が思うよりも、
   ずっと多くのことを既に知っていた。

いい言葉ですね。

   誰にでもある、人生に特別な意味をもつなにかを始めたときの気持ち、
   私もこんな風に書き留めることができたら、よかった。

今から考えると、
そんな人生の里程標が、
闇の中の街灯のように、光って見えませんか?

   妻をはじめて見た瞬間がそうでした。
   子供たちが生まれた日がそうでした。
   ホロゴンウルトラワイドと出会った瞬間もそうでした。
   猫たちが順番に家にやってきた日もそうです。

笑わないでくださいよ、

   偶然「冬のソナタ」を見て、狭い坂道を
   高校生姿のチェ・ジウが駈けてくる姿を見たときもそうでした。

そして、考えるのです。

   ぼくにも、チェスノートがある。
   ロボグラフィがそうです。
   「自分の力で刻みつけた足跡」、まさにそれなのですから。
    そして、このブログもそうです。
    これも、やっぱり私のチェスノート。

こんないわば「我田引水的名言」に出会うと、
一日得したような気分になります。
by Hologon158 | 2011-10-19 18:28 | ホロゴンデイ | Comments(0)