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286.55 ホロゴントラベル10「夏冬2度のネパールをおさらい」55 高めてくれるもの



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自分がしていることはこうだったのだ、
そう教えてくれるような言葉があるものです。
ひさしぶりに、そんな言葉に出会いました。

    「優雅なハリネズミ」(早川書房)
     フランスの作家ミュリエル・バルベリの小説。

とても平易な翻訳で、正しいかどうかは分かりませんが、
ともかく楽しめます。
17歳で自殺を志している天才少女がこう考えるのです、

  心についてではなく、すぐれた物体について深く考えるのです。
  形があって触れることのできるもの。
  それでいて美しくきれいなもの。
  人生を豊かにしてくれるものといったら、
  愛や友情、芸術の美くらいしか思いつきません。
  愛や友情を真剣に求めるには、わたしはまだ子供すぎます。
  でも、芸術は.......。
  生きていかなければならなかったとしたら、
  芸術は人生のすべてだったでしょう。
  わたしの言う芸術は、偉大な芸術家の作品ではありません。
  フェルメールだって、一生ずっと好きなわけではありません。
  すばらしい作品だけど、もう死んでいます。
  そうではなくて、この世の美、
  人生の変化のなかで自分を高めてくれるものを
  探しているのです。
  だから、(中略)人々の行動や身体の動き、あるいは、
  話題がないときには、
  物体の変化についても考えていこうと思います。
  そして、人生に価値をあたえられるような美しいものを
  見つけたいのです。
  気品や美、調和、強さ。
  それらを見つけることができたら、
  自殺という選択を考え直すかもしれません。
  精神に美しい思考があるように、
  身体に美しい動きを見つけることができたら、
  人生には生きるつらさに値するものがあると思えるでしょう。

フェルメールの作品が死んでいるとは思いませんが、
他の言葉は全部呑み込むことができます。

私が写真で、揚琴で、人生でしたいこと、それは、
彼女の一言に尽きるのですから。

     精神に美しい思考があるように、
     身体に美しい動きを見つけることができたら
by hologon158 | 2011-12-08 12:02 | ホロゴントラベル | Comments(0)