わが友ホロゴン・わが夢タンバール

292.35 ホロゴンデイ79「2007年1月6日新年近江八幡詣で濡れに濡れ」35 視線が逸れて



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売店で、小さな写真を一枚購入しました。

    戒壇院の広目天像のクローズアップ。

広目天については、最高の名作が他に少なくとも2枚ありますが、
どうやら入江先生、阿修羅に劣らず気に入っておられたようで、
まだまだ何枚も名作がありそうです。

でも、ちょっとお顔の左を切った構図のこの写真、
眼差し、容貌の迫力は並大抵のものではありません。

眼差しは、まっすぐ前を向いていません。
正面に相対する者の右耳のあたりに視線が逸れています。

そう見えるだけなのでしょうか?
でも、広目天の右目の位置は、私の感じを裏付けています。

私の大学時代の友人を思い出しました。

    彼はとてもしゃべり好きなのですが、
    なぜか私と目を合わさず、
    広目天のように、私の右耳あたりに視線が逸れたものでした。

私は、目と目とをしっかり合わせてしゃべる癖があります。
視線がかみ合わないと、議論もかみ合わない感じ。
ですから、これには大変に居心地の悪い想いをしたものです。

まさか広目天がこの旧友と同じだったわけではないでしょう。
それとも、広目天は、あなたが隠そうを思っていることそのものへ、
視線を集中させているのでしょうか?
それも、四天王の役割を考えると、ちょっとおかしい感じですね。

私のかってな推測はこうです。

    広目天は、この世のすべてを認識します。
    そして、この世の悪を心底怒っています。
    悟りへの道を閉ざしてしまうわけには参りません。
    そこで、悔い改めの機会を与えるためにも、
    目を半眼にし、あなたや私の悪行から目をそらして、
    この世の衆生にチャンスを与えているのです。

それがどんなに苦渋の決断かは、
広目天の表情を拝見するだけで分かります。

造形美術という観点から見ても、
このような深い内面性の描出は信じがたいほどに高度な表現力です。

広目天の作者は世界の美術史にその名を残すにふさわしい、
私はそう信じています。

一体、誰が創ったのでしょうね?



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by Hologon158 | 2012-01-15 17:07 | ホロゴンデイ | Comments(0)