わが友ホロゴン・わが夢タンバール

294.06 ホロゴン外傳26「2012年1月14日新年の東大寺界隈をぐるり巡視」6 ペレルマンの杖



ポアンカレ予想を解いた数学者ペレルマンについて、
「完全なる証明」の著者マーシャ・ガッセンは、
おもしろいことを書いています。

   問題を着実に解き進んでいくときの、
   神経の研ぎすまされたような正確さは、
   つねに仲間たちに強い印象を与えた。
   彼の頭脳は、問題をとことん圧縮して、
   そのエッセンスだけを搾り取るという意味で、
   万能数学コンプレッサのようだった。
   彼の頭の中になにがあったにせよ、
   仲間たちはそれを「ペレルマンの杖」と呼ぶようになった。
   それはとても大きな空想上の道具で、
   ペレルマンはそれを持ったまま静かに席につき、
   百発百中でとどめの一撃をくらわせた。

この文章を読んでつくづく考えました。

   ああ、そんな頭が欲しかった!

なにも人にとどめの一撃をくらわせるためではありません。
人生に遭遇するさまざまな問題の解決が
もっともっと的確になっただろう、という意味で。

その問題の中にはもちろん写真も入っています。
私は複雑な写真を好みません。
単刀直入に、これを撮った、これを言いたいとはっきりわかる写真が好き。

風景写真なら、主題は現場に向かえば自然にはっきりします。
ストリートに出ますと、なにをどう撮るかは完全に自分次第。
決めるのは自分自身です。

そんなとき、ペレルマンのように、
「問題を着実に解き進んでいくときの、
神経の研ぎすまされたような正確さ」と持っていたら?

そんな正確さなんて、夢のまた夢。
数学の問題と、人生の問題は解き方が違う、
と言い切ってしまえば、それまでかも知れません。

しかし、どうやらカルティエ=ブレッソンにはそんな正確さがあったようです。
彼自身、自分の写真について、幾何学という言葉を使って、
幾何学的な説明をしています。
彼は、どうやら現実世界に縦横に走るエネルギー線のようなものを
感知することができたようです。

私の場合、スナップ写真ではありませんから、
それとは違うように見えますが、
なにかを感知するから撮るという点では同質なのではないかと感じています。

ソニーNex-5Aにはフォーカスエイドの機構があります。
ライブビュー上で合焦した部分が光るのです。
私たちも、このフォーカスエイドに似た、
検知器のようなものを働かせているようです。

路地裏を歩いていて、
心と現場がピタリと符合する、そんな瞬間があります。
だから、撮ります。

ホロゴンのように、画角が110度もありますと、
眼前の光景が全部写りますから、こんな検知器が働かないと、
まるで無秩序なイメージが撮れてしまいます。
日本のような無秩序に増殖する都市空間では、
周囲と解けあうようにデザインされることなどありえないからです。

   「ペレルマンの杖」が欲しい!



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by Hologon158 | 2012-01-18 22:42 | ホロゴンデイ | Comments(0)