わが友ホロゴン・わが夢タンバール

301.09 ホロゴン外傳29「2012年2月11日アンジェニューが大阪天神橋フジハラビルに」9 ニャーモアの話



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前回、銀太の遊びを書きましたが、
ワンクッションを置いた、
ちょっと高級なユーモアを感じませんか?

愛する娘の静も同じような遊びをします。
一番年上の銀太にはけっしてしないことを、
仲のよいお兄ちゃんのグリにします。

    自分の前を進んでゆくグリの上を、
    まるで水銀が流れるように、
    グリの頭上すれすれに飛び越していくのです。

けっして直接的なちょっかいをかけるのでやなく、
間接的なアプローチで、
いわば親愛の情を示すのが猫の流儀のようです。

こんな間接的アプローチによるユーモアは、
日本人にはあまり得意ではありませんね。
むしろイギリス流。

昔、トンプソン監督の映画「ナバロンの要塞」で、
その一例を観たことがあります。

    第二次世界大戦、ヨーロッパ戦線です。
    連合軍のコマンド分隊が密命を受けて、
    独軍のナバロンの要塞の巨砲を破壊すべく、
    小さな漁船で接近を試みます。
    怒涛逆巻き、木の葉のように翻弄されながらも、
    かろうじて前進する漁船。
    その舵を取るのが、米軍将校のグレゴリー・ペック。

    そこへ、波をバシャバシャ被りながら船縁に左手でしがみつきつつ、
    英軍の下士官のデビット・ニーブンが近づきます。
    ペックの側に行って、
    右手にささげ持ったコーヒーカップを差し出します。
    もちろん波をかぶって、おそらく中身は海水。
    ペックはこれに目を走らせてから、静かに、

        「ノーサンキュウ」

    ニーブンはしばらくペックと話してから、
    右手のカップを依然としてささげ持ちながら、立ち去ります。

このやりとりには、どうも日本人には永遠に備わらないような、
上質のユーモアがありました。

でも、猫ならわかるかもしれない、
そんな感じがしてきました。
by Hologon158 | 2012-02-15 20:13 | ホロゴン外傳 | Comments(0)