314.09ホロゴン外傳37「2012年3月11日友あり、東より来たる(5)プリモプラン編」9 心がまず第一
音楽でも、小品になればなるほど、
人を感動させるのは難しいですね。
誰もが知っていて、誰でも弾けるような曲をどんなに見事に弾いても、
ただそれだけで人を感動させるわけではありません。
ただ、うまく弾いただけ。
初めて千住真理子さんの「オンブラマイフ」を聴いたとき、
ただのCDでしたが、突然、涙がどっとこみ上げて、
思いがけないほどに大きく心を揺さぶられたことを思い出します。
テクニックではありません。
別のなにか。
その後、幾度も彼女のコンサートに接して、思うのですが、
この人にはなにかがあります、
私の心にじかに伝わるなにか?
写真もそうですね。
素敵な感動を与えてくれる傑作にもそれがあります。
カルティエ=ブレッソンは「決定的瞬間」で有名ですが、
その後の写真家たちに大いなる誤解を与えました。
とにかく決定的な瞬間の切り取りが大切だと、
技術的な側面ばかりが強調されてしまいました。
でも、彼の言いたかったことは、
心と情景とがぴたりと照合しなければならないということでした。
心がまず第一。
彼のスナップが私たちの心を揺さぶるのは、
写真技術のおかげではなく、
その場でシャッターを押すことを決断した彼の心の深さゆえ。
どんなことでも、アートであれ、職業であれ、
まず、心を磨くことが第一の条件ではないでしょうか?
それを忘れて、テクニックばかりを追いかけると、
空滑りばかりで、人の心にはなにも伝わらないのではないでしょうか?
我が師の田島謹之助さんのおっしゃった言葉を忘れることができません、
「※さん、よい写真を撮りたかったら、
りっぱな人間にならないといけませんよ」
忘れることはできないけれど、実行することはとても難しいですね。
田島さんは、その言葉どおりに、無私無欲の立派な人物でしたが、
弟子の方は、このときの田島さんの年齢を超えてしまいましたが、
いまだに右往左往する迷える子羊。
おかげで、写真の方も、
自分しか感じない駄写真を粗製乱造する毎日。
反省.......
by Hologon158
| 2012-04-05 22:20
| ホロゴン外傳
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