319.14 ホロゴン外傳40「2012年4月21日パンタッカーも十三を闊歩した」14 吉田正写真集
5月5日の喜びの第4は、
吉田正さんの最新写真集
- PHOTOGRAPHS OF SENSES -
奥様と同じように美しいお嬢さんはデザイナー。
洗練の極みのDMも、この写真集も彼女がデザインしたとのこと。
父に劣らず、子も真正のアーチストなのです。
ニューヨークで印刷されたこの写真集は、
装幀、ブックデザイン、各頁のデザイン、
モノクロームプリント、作品の質、
すべてにおいて、極上。
吉田正さん、
「タングステンの光の下で見て下さい。
蛍光灯だと、色が転びます」
幸い私はタングステン球のスタンドを補助光に使っています。
この光に照らし出される、
厚めの極上のペーパーにプリントされたモノクロームは、
黒が見事に締まり、白を輝かせています。
1976年から2011年までの35年にわたる作品60枚、
一枚一枚がそれぞれに、
光と影と人と場所が交錯する瞬間を絶妙の捉えて、
間然するところのない芸術。
いつも考えるのですが、
写真って、完全な自由の体験です。
ある日、ある時、ある場所で、ある方向を向いて、
あるカメラ、レンズを使って、一枚シャッターを落とします。
そうしてフィルムに収められる画像は、
撮影者のたった1回限りの視点からの宇宙イメージ。
なにをどう撮ってもよい。
このイメージに、いわば貴賎上下の区別はありません。
でも、それなのに、ある写真はアートであり、
ある写真はただの素人写真。
どこで、この違いが生じるのか?
これが問題ですね。
答えは分かっています。
この時空で1回限りの稀なチャンスに撮られた、
独自かつ美しいイメージ、
これがアート。
では、どうすれば、そんなイメージをキャッチできるか?
どうも、このあたりで、才能がものを言うようです。
なぜか分からないけど、そんなイメージをキャッチできる人、
それが芸術家。
どんなにがんばっても、そんなイメージをキャッチできない人、
それが私。
ですから、そんなアートは自分には無縁。
だけど、そんなアートを味わうことなら、私でもできます。
なにも芸術家でなくても、芸術をエンジョイできる!
それがこの世の喜びの1つなのです。
そんなアートがこの写真集を満たしています。
また1つ、宝物が私のもとにやってきました。
by Hologon158
| 2012-05-06 16:04
| ホロゴン外傳
|
Comments(0)