321.16 ホロゴントラベル11「2002年7月熱帯バンコクをホロゴンがスイープ」16 ただの扉
ホルヘ・ルイス・ボルヘスの神の名の豊かなイメージは、
私の心を大いにかき立ててくれたのですが、
実は、そんな風に刺激して貰う必要はなかったのです。
まだ小学生の低学年の頃から、
私は現実を空想に置き換える遊びが大好きだったからです。
昔の舗装のない道路はでこぼこでした。
雨が降れば、道路一面を小さな水溜まりが埋めたものでした。
こうなると、もう私の世界です。
私は、この小さな、だけど、満々と水をたたえた池が、
それぞれに異世界への入口であり、
私が足を滑らせて池に落ちた途端、
私は二度と戻れない異界に果てしなく沈み落ちていく、
そんな風に想像したものでした。
その途端、道路は、おそるべき危険を秘めた罠の世界に一変。
私は、池を真剣に飛び越して、
わずかに残された地面にかろうじて着地するのでした。
こんな私ですから、それから幾星霜を経た今でも、
たとえば、異様な扉を見つけた瞬間、
その背後には、秘密の世界が隠されていると、
鋭く気づいてしまうのです。
そんな想像を、児戯であり、でたらめであると好まない方にとって、
扉はただの扉。
私の写真は、ただの駄写真。
もうしわけありませんね。
私にとって、私の写真はいつもミステリー。
これを得な性分と見るか、人生無駄にしているバカと見るか、
どうぞ、お好きなように。
by Hologon158
| 2012-05-11 22:10
| ホロゴントラベル
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