346.25 ホロゴンデイ86「2010年7月3日ホロゴンとゾナーが雨の名張を荒らして」25 「第3の男」
モノクローム映画はよかったですね。
子供の頃観た「第3の男」を今でも覚えています。
一番印象的だったのは、
オーソン・ウェルズ演じるハリー・ライムが、
闇の中から浮かび上がるシーン。
役者も設定もよかったけど、
アントン・カラスのチターもよかったけど、
白と黒だけの二値のモノクロの衝撃力こそ主役でした。
随所に影を使った演出があって、
虚実の狭間で踊らされる人々の姿を浮かび上がらせました。
現代の高精密、高精細のレンズではこうはまいりません。
すべてを見せてしまいます。
画面の隅々まで、端役の下っ端まで名優を揃えて、
好きに演技をさせるような具合。
おかげで、主人公が霞んでしまう。
モノクロームは違います。
不要な色はばっさり切り捨て、
情報量を切り詰めて、
見せたいものだけを浮かび上がらせる、
これが抽象です。
「第3の男」のラストシーンはあまりにも有名です。
探してみたら、You Tubeにちゃんと見つかりました。
The Third Man - Final Scene
(http://www.youtube.com/watch?v=l64JIcG-O-k&feature=related)
冬枯れの並木道、
アリダ・ヴァリ演じるヒロインの小さな影。
泣きたいほどに儚げ。
次第に近づき、ジョセフ・コットン演じる三文小説家に、
一瞥もくれないで通り過ぎる。
寂しい男女のすれ違う心を見事に演出していました。
モノクロームだからこそできたシーン。
小学生のときから数知れず英米仏独のモノクロ映画を観ました。
私が写真を撮るとき、私の脳裏のどこかに沈んでいる記憶が、
どこかで絡んでいるかも知れません。
というより、どんどん私に影響を与えて欲しいものです。
by Hologon158
| 2012-06-26 14:13
| ホロゴンデイ
|
Comments(0)