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396.24 ホロゴンデイ96「2011年10月10日 一年前ホロゴンウルトラワイドが神戸に出動」24-完-嗚呼ハンニバル



数日前からチャールズ・ラムの「ハンニバル」の朗読完全版を聴いています。

19世紀初頭の名随筆家で、「Essays of Elia」で有名な名文家。
さすがにとても耳障りのよい文章で、快調。
さほど英語力のない私でもなんとかついていけます。

まだ3分の1ほどですが、かなり見事にハンニバルの行動を追っています。
リヴィウスとポリビオス、そして、プルタルコスのいくつかの伝記で、
ポエニ戦役でのハンニバルの活躍ぶりは、
かなり詳細に追うことができるのですが、
どれも彼自身の伝記ではないので、記事は切れ切れ。
その上、ローマ側の資料に基づいて描かれているらしく、
ハンニバルの人間像は影絵のように浮かびあがるだけです。

さりとて、塩野七生さんの本は読みたくない。
図書館で散見したことがありますが、
見てきたように詳細かつ明快に描かれているのが、とても不思議。
原典資料からどうしてそこまで言えるのか?
そんなはずはない。
そんな風に考えますと、司馬遼太郎の歴史小説のように、
どうやら塩野さん、イタリアの歴史家たちの研究を使って、
かなり想像力を働かせて書いているらしいと推測されます。

でも、その想像のハンニバルは、私のハンニバル像とちょっと合わない。
私ももちろん想像力を働かせて、ハンニバルを理解しようとしている点、
塩野さんと同じなのですが、
同じ想像をするのであれば、自分で想像したいものです。

1つ残念なことは、プルタルコスが彼の対比列伝に、
外傳でもよいからハンニバルを採りあげてほしかったということです。

ギリシア人、ローマ人ではないから、ということもあるでしょうけど、
アルタクセルクセス伝は編んでいるのです。
それ位なら、ハンニバルをどうして採りあげなかった?
残念ですが、きっと資料不足のせいなのでしょう。

それにしても、ローマを中心とする西地中海の歴史において、
ハンニバルが占める存在感は巨大です。

彼について読む度に思うのは、
史上この人位孤軍奮闘の戦いを長年続けた人はいない!

    弱小国カルタゴがローマを屈服させられる唯一の道だったのでしょう。
    ハンニバルは祖国の支持もなしに、独自に作戦を立案して、
    紀元前218年、スペインを出発して、アルプスを越えます。
    次々と、見事な作戦で、ローマ軍に勝利を収め、
    紀元前216年のカンネーの戦いを頂点に、
    ローマの覇権を脅かすところまで行きます。
    紀元前202年、ハンニバルはザマの戦いでスキピオに敗れるまで、
    ローマの何分の一しかない国力の祖国カルタゴから遠く隔てられて、
    しかも、祖国からの支持・支援・増援もほとんどないまま、
    その結果、人材、戦備も損耗の一方であったのに、
    たった一人の人間が指揮をとって、
    一握りのカルタゴ人とそれ以上の諸国、諸民族の兵士たちを駆使して、
    ローマが強大なる支配権を握るイタリアになんと16年間もとどまり、
    常にその一角にしっかり両脚を踏みしめて、戦い続けたのです。

第一次世界大戦はたった4年間、
第二次世界大戦はたった6年間で勝負がついたのに!
歴史上、信じがたい奇蹟なのです。
でも、そのようなことを強調する言葉を読んだことはありません。

勝利の希望も準備もない戦いでした。
それなのに、敵地のまっただ中で16年間も戦い続けることができた!

    ハンニバルの将才、統治の才が古今を絶していたことだけではなく、
    人心を収攬し統合できる巨大でかつあたたかな人間性の持ち主だったから、
    私にはそうとしか考えられません。

ほぼ30歳から60過ぎ亡くなるまで、
ひたすら祖国のために身を投げ打って働き続け、
最後には、ローマに追い詰められて、異国の地で自決して果てます。

    彼は、自分が歴史上不朽の名を残すだろうなんて、
    夢にも思わなかったでしょう。
    また、そう思っても、なんの慰めにもならなかったでしょう。
    死後の名声など、祖国を亡ぼされては、なんの意味もありません。

        なんという徒労!
        なんという灰色の人生!

思うのですが、
ハンニバルは、自決にあたり人生をふり返って、
きっとこう考えたでしょうね、

    もう一度生きることができ、
    もう一度イタリアに攻め込むことができるのなら、
    他のすべての幸せをなげうっても、
    も一度、挑戦してみたい!




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by Hologon158 | 2012-11-15 19:11 | ホロゴンデイ | Comments(0)