わが友ホロゴン・わが夢タンバール

427.23 ホロゴン外傳107「2013年3月30日 スーパーアンギュロン21mmf3.4が天神橋を渡った」23 むかしを今に


インターネットに「青空文庫」というサイトがあります。
著作権の切れた文学を無料配布してくれます。
読み込んだファイルをそのまま読むこともできるし、
コピーしてワードに貼り付けて、お好みに加工もできます。
宮澤賢治も太宰治も一杯あります。
老眼気味の人には恵みのサイトですね。

そんな風にして文学を読み込んで、一つ感じること。

   それは、文体の著しい変遷。

   日本人が明治以来どんなに工夫に工夫を重ねて、
   日本語の文章、文体を作り上げてきたか、
   その苦労の跡がしのばれます。

今もなお、文筆家たちは苦労しているはず。
それだけではなく、日本人全体が、さまざまな生活、仕事の平面で、
適確で明晰かつ正確な文章を書くために苦闘しています。
それを知る意味でも、古い文学を時折まじめに読んでみるのも、
自分自身の視野を広め深めるよい体験となりそうですね。

上田敏の有名な翻訳詩集「海潮音」もあります。
その一つを引用してみましょう。

   春の朝     
       ロバアト・ブラウニング

   時は春、
   日は朝、
   朝は七時、
   片岡に露みちて、
   揚雲雀なのりいで、
   蝸牛枝に這ひ、
   神、そらに知ろしめす。
   すべて世は事も無し。

美しい詩ですね。
誰もがどこかで読んだことのある詩の一つですね。

今はすでに10時ですが、季節は丁度今です。
でも、ブラウニングの時代と大きく様変わりしたことが一つ。

   現代では、世界中の人々の内に、
   心から安んじて言える人がいるでしょうか?
       神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し。

文体が変わっただけではないのです。
時代が、世界が変わってしまいました。

   70歳以下の日本人は、猛烈に幸せな時代に生きたのです。
   歴史上類例がないほどのよい時代だったと言えそうです。
   戦争も経験せず、平和の内に、
   日本は順風満帆の航路を辿ってきました。

このままであれば、私たちは、生涯を閉じるとき、
心の底からつぶやくことができたでしょうね、
「神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し」

でも、古のクロイソス王の述懐は永遠に正しいですね。
「人は生涯を閉じるまで、自分の幸不幸を知ることはできない」

   今から思うと、小泉が政権を握り、国政は完全に停滞しはじめ、
    その後に阪神・淡路大震災。
    このあたりから日本全体が放物線の頂点から落下しはじめ、
   政治も経済もこぞって退潮、凋落の方向をたどり、
    世界全体が混迷を極めるようになり、
    それに同調するかのように、未曾有の大災害、天候異変の続発。
    すべて世は禍々しき事に満ち、
   そんな感じがします。

   むかしを今に なすよしもがな..........




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by Hologon158 | 2013-04-08 11:06 | ホロゴン外傳 | Comments(0)