445.11 ホロゴン外傳114 「2013年6月22日風邪快復後の筆ならしを大阪平野オリオンで」11 怠慢はばれる
ガードナーの「裏切りのノストラダムス」を読み終わりました。
その都度、この本で残念に思うことがあります。
壮大な裏切りと欺瞞のドラマが終わりました。
一件落着、大団円です。
最後の頁。
ハービー・クルーガーはマーラーの「大地の歌」を聴きます。
そして、
「クリスティナ・ルートヴィヒの声がスピーカーから流れ出て、
その澄んだ声が部屋を満たした」
この下りに来て、ガードナーが用意した大団円で、
深い感傷と感銘にため息をつきたい。
それなのに、いきなりグサッととげが刺さって、それができない。
クラシック音楽ファンの方なら、もうおわかりですね。
「クリスティナ・ルートヴィヒ」という歌手は存在しないのです。
「大地の歌」はとびきりの大歌手の定席なのです。
ドイツの生んだ偉大なメゾソプラノ、クリスタ・ルートヴィヒは、
もちろん「大地の歌」を録音しています。
You Tubeでも、別の録画も見ることができます。
Mahler: Das Lied von der Erde: Mov. 6 - Part 1 of 3
(http://www.youtube.com/watch?v=-9lYqjBWfwQ)
ガードナーが間違ったのか?
彼はマーラーを深く愛好しているようです。
マーラーのそれぞれに個性に満ちた交響曲に対する、
ハービー・クルーガーの思い入れはきわめて正確であることからそれが知れます。
どんなジャンルでもそうですが、音楽家、名歌手たちを記憶する人は
姓名一体として記憶します。
もちろん、姓だけで全世界に喧伝される歌手たち、音楽家たちがいます。
カザルス、シャリアピン、カルーソー、カラス、
フィッシャー=ディースカウ、グールド..........
でも、こんな例外をのぞけば、愛情が姓名一体として記憶してしまうのです。
その歌手への特別の愛情がそうさせるのです。
だから、絶対に忘れないし、絶対に間違えない。
クリスタ・ルートヴィヒもそんなビッグネームの一つです。
だから、クリスティナ・ルートヴィヒなんて書き間違いをするはずがない。
もしガードナーがそんな間違いをおかしたとしても、
訳者がクラシックを知っていたら、
たちまち、これが誤記だと分かってしまい、訂正して訳したでしょう。
原作者がそう書いているのだから、そのままにしました、
といいわけできる限度を超えているからです。
訂正をしていないのは、
訳者がクラシックを知らないからであることは明らかです。
つまり、間違ったのは訳者先生なのです。
自分の知らない人名、データにぶつかったら、調べるべきです。
ちょっと調べたら起こさないようなミスが起こっているのは、
翻訳者がこの基本的手続きを怠ったからです。
これは恥ずかしいことです。
「裏切りのノストラダムス」のその後のバージョンでは、
ちゃんと修正されていることを願いたいものです。
by Hologon158
| 2013-06-27 10:45
| ホロゴン外傳
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