わが友ホロゴン・わが夢タンバール

560.11 ホロゴンNOVA1「2014年12月1日はホロゴン革命の日となった」11 パリの夜



吉田正さんがパリの夜の豊かな交歓風景に舌を巻いて、
そんな生活の中で感性を磨く人たちと、
日本人のように、感性を磨くことができるような機会の少ない人間との間には、
大変な差があると嘆いておられました。

本当にそのとおりなのでしょう。

    私もヨーロッパに行くたびに、現地の人たちが深夜まで
    和気藹々、喜々として語り合ったり呑んだりしていることに驚かされました。
    本当に人生を満開で謳歌しているという雰囲気でした。
    
かつてのフェスタはかなり減少して、
日米のようなビジネスタイムに変わりつつあると聞かされました。

    でも、ヨーロッパ人たちは職場のかなり近くに居住しているので、
    日本人のように長時間の通勤ラッシュに、
    生活とエネルギーをとられることがないせいもあるでしょう。
    まるで人生のコンセプトが違うことに驚嘆させられてきました。
    夜にこそ人生がある、そんな感じでした。
    それなのに、仕事もちゃんとこなすのですから、
    仕事一筋の日本人とは、人間の幅、感性のダイナミックレンジが
    自ずと激しく異なるのでしょう。

日本では、政府を筆頭に、官庁、企業のほとんどは、
勤労者、労働人口は全生活を勤務に捧げるべき働き蟻の存在とみなしています。

    勤労者にも自分の人生があるなど、誰も考えません。

    私生活だって?
    ほどほどにしたまえ。
    君には職責というものがあるんだ、
    仕事に差し支えないようにくれぐれも気を付けるように、というわけです。

そんな24時間勤務体制のサラリーマン生活を嫌って、
定職につこうとしない青年が増えているのは、
人間としては正常じゃないか、私はそう考えています。

私は、若い頃から、というより、物心ついてからずっと、
なぜか勉強に仕事に全人生を賭けるなんて考えは間違ってももてない人間。

    ほどほどに勉強し、国家試験も好きな読書をまずして、
    合間に試験勉強をするというスタンスでしたが、
    生まれつき運の良い人間なので、志望どおりの仕事につくことができました。

ところが、これが案に相違して、毎夜自宅に仕事を持ち帰り、
深夜遅くまで仕事しないと捌けないという職種だった。

    でも心配はありませんね。
    私がとった対策は、仕事を、
    克服すべき難関、頭を使って解くべきパズルと考えることでした。
    おかげで、仕事もその他の生活もすべて楽しみに変えてしまうことができました。

私はあまりつきあいのよい人間ではありません。

    と言うより、まるでつきあいの悪い人間で通してきました。
    付き合いたいのは妻と数少ない親友だけ。
    新人のときから超然として、上司にゴマをすることもなく、
    ただのおつきあいで時間を費やすことは一切しなかったのですから、
    変わり者だったのでしょう。

空き時間は休みなく読書し、音楽を楽しみ、映画を楽しむ。
ヨーロッパ人と比較すると、
人間理解という点でははるかに迂遠な道だったのでしょう。

    私が常に我田引水的に、つまり自己本位にものごとを解釈できる人間なので、
    実は私のそんな生活が私という人間には合っていた、
    逆に言えば、だからこそ、そんな生活を選んだと言えそうです。

ちょっと考えてみますと、
アーチストたちは万人に向かって、あるいは、
自分のコンセプトを受け取ってくれる人たちに向かってアピールしなければなりません。

    自分のアートに向かって自分の感性、人間性を磨き、
    自分のアートが人々に向かってメッセージを発信し、
    人々の心をつかむように、自己を変革し進化させなければなりません。

私は、だから、アーチストではないのです。

    生まれてこの方、特定の個人をのぞき、
    不特定多数の人に向かってなにかを発信したいと考えたことが全くありません。
    写真をとってみても、自分の心を満足させることだけが私の目的でした。

コンテストは写真を始めた最初の2年に居住県の2つのメインコンテストに
各2回応募して、最初に入選が1回、その後3回連続して準特選。

    有名な写真家の選者に、
    久々に出現した大型新人と評していただいたと立会人に教えられ、
    とても気をよくしたのですが、これで打ち止めにしました。

コンテストは私を駄目にすると知ったからです。

    コンテストの当選の秘訣は、
    選者の好みに合った写真を選択することと言われていることを知ったことと、
    コンテストの受賞作品を見て、私の評価基準に照らすと、
    ろくなものはないと分かったからです。
    自分が理解できなくても、私のセンスをはるかに上回る優れた作品があるものだ、
    など、当時知らなかったからかも知れませんが、これがかえって幸運でした。

    写真クラブのメンバーの中にもコンテストの常連さんがかなり居ましたが、
    そんな皆さん、人がどう驚くか、喜ぶか、
    そのことばかり考えていることを知ったからです。

    みなさん、受賞歴をひけらかし、
    あたかもそれが勲章のように誇らしげなのですが、
    その人ならではのあたたかい肌触りの写真なんて、ほとんど見つからない。
    コンテスト応募を続けていたら、
    自分もそんな人間になってしまうかもしれない。

かくして、その後クラブ展に出す以外、
写真を公表することなく、ひっそりと写真歴を30年以上続けてきましたが、
そんな選択を後悔したことは一度もありません。

    ヨーロッパの人々の豊かな感受性を育む環境とは大違い。
    人間性を確かに狭い境域に押し込んで生きてきたのでしょう。
    でも、どんな人間も、選択をしなければならず、
    人生の道は、実は、その人なりに狭いものです。

    これを選んだら、あれはできない。
    この道を進んだら、別の道へは進めない。
    そんなものですね。




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by hologon158 | 2014-12-10 10:28 | ホロゴンNOVA | Comments(0)