わが友ホロゴン・わが夢タンバール

571.02 ホロゴン外傅143「2015年1月21日 心斎橋にヘリアー15㎜が切り込んだ」2 petzvalさん




1月29日金曜日、
「奈良の軽井沢」と呼ばれているかどうか知らない、
奈良盆地南西端の町、榛原に参りました。

超重武装で身を固めました。
寒さに強いわけではないので。

    昔、10月、写真ツアーで上高地に出かけたことがあります。
    10月の紅葉を撮るというコンセプトでしたが、
    何十年ぶりかで、豪雪が降り、全土厚い雪で覆われ、
    吹雪いて、穂高もなにも見えないという状態でした。

でも、平気でした。

    用心のため、中国で手に入れたダウンを着ていったのですが、
    これが役に立ちました。
    こたつに入っているような暖かさでした。

10年使い倒して、ぼろぼろになったので、
また中国で手に入れましたが、もうその暖かさは戻りませんでした。

    ダウンの質がかなり落ちたようです。
    今はモンベルのダウンに助けられています。
    付虹先生からいただいた超厚手のインナーを着ますと、
    サンタクロースのように膨れ上がりましたが、
    やっぱりコタツ状態。
    これなら、雪でも氷雨でも槍でもなんでも来いです
    (訂正、「槍」は無理)。

本日の最大の目的はPetzvalさんと会うこと。

    なにしろ19世紀のPetzvalと20世紀のHologonが出会うのです。
    いくらホロゴンでも、時代の重みにたじたじ。
    でも、こうして出会うのも運命です。
    私は、自分の大切な人たちとすべて会うはずもないのに、
    なぜか奇しくも出会えることで、
    自分の人生を作ってきてもらったという気持ちで生きています。

Petzvalさんと会うことで、
私の人生に大きな跳躍板をプレゼントしてもらうかも知れません。

    とりあえず、その皮切りとして、
    Petzvalレンズを一本使わせていただくことになっています。
    ローデンシュトックの55mmの宮崎貞安さんによるライカM改造版なのだそうです。
    使いまくるぞ!

紆余曲折がありましたが、ともかく、榛原到着。
駅でPetzvalさんと初めて会ったのです。

    彼は三重県にお住まいです。
    私は奈良県の住民。
    昔から国境を接する二国の王が会うのは国境と決まっています。
    ということで、両県のロボグラフィストの代表として、
    県境に近い榛原で会盟する歴史的な日となったわけです。

榛原駅南口の階段を下りながら、下を見ると、
Petzvalさんが瞬時に見つかりました。

    それらしい人物は他にいなかったせいもありますが、
    一目見て感じたこと、それは、
        「よかった!」

いつも書いていることですが、私の場合、好きな人と嫌いな人、
この2種類の人間だけは一目で決まってしまうのです。

    どちらも大変に少ない。
    たいていは、どちらでもない、白紙。
    一目惚れじゃありませんが、それに似たような出会いがあるものです。
    Petzvalさんと握手すると、もう友人でした。

    これが美しい女性だと、抱擁しあうともう恋人なのですが、
    今回はそうはならない運命にありました。
    (今回もなにもずっとそういう運命。
    ちゃんと家に恋人がいるのに、なにを言っているのだ?)

言い忘れていたことですが、Petzvalさんは男性だったので、
初対面の挨拶もそこそこに始めてしまいました。

    なにを?
        撮影を!

最初の装備は、私は、
    Hologon15mmF8M付ソニーα7
Petzvalさんは、
    ダルメイヤー25mmF1.9付オリンパスE-PL1の後継機(名前失念)。

ダルメイヤー25mmは私も愛している逸品。

    近頃中将姫光学さんが惚れ込んで、
    怒濤の勢いでコレクションを増やしておいでになるペッツバール。
    Petzvalさんからそのすばらしさを教えられて、
    今更ながら、その奥深さに目覚めさてもらったペッツバール。
    そのレンズ設計を踏襲しているのがこのダルメイヤーです。

「レンズ千夜一夜」のカテゴリーでこのレンズを検索していただければ、
私がなにも知らずに、その描写のすばらしさに
滅法惚れ込んできたことをお分かりいただけるでしょう。

    このダルメイヤーレンズは、
    レンジ史の19世紀にさかのぼる重い伝統を背負っていたのです。
    そんなこととは露知らず、
    私はツァイスレンジ史の頂点の一つと言うべきホロゴンで
    榛原の路地を撮りはじめたわけですが、
    Petzvalさんはそんな私の前になり後ろになりつつ、
    ダルメイヤーでロボグラフィを撮ったわけです。

この日、ある画期的な事件が起こったことをまず報告しておきましょう。

    昨日、私は合計748枚撮りました。
    友人と同行したときは、
    私がいつも友人たちの何倍もの大漁
    (かどうかは、観点の相違ですが)。
    ところが、なんと昨日、Petzvalさんは約600枚!
    私とほとんど同量の収穫を揚げたのです!

新潟のストリートフォトの大家yoshiさんにしか負けたことがなかった
(これも観点の相違ですが)私、もう完全に不意打ちを食らいました。

「レンズ千夜一夜」のNo.1245記事のコメント欄においでになれば、
Petzvalさんの写真をごらんになることができます。

    私とは異種の、私のよりも奥深い、
    重厚なロボグラフィをお撮りになっていたのです。

互いに、ロボグラフィポイントを教えあったことは幾度かありますが、
ほとんどの場合、Petzvalさんは私より先行して撮っていました。

    それにもかかわらず、同じポイントを
    別の撮り方で撮っているものがいくつも見つかります。

要するに、昨日沿道サービスに飛び出してきた榛原ロボグラフィたちを、
二人して、「やあやあ」と挨拶しながら歩いたのです。

    こんなことをする人、つまり、
    正真正銘のロボグラフィストに出会ったのは初めて。

でも、驚きはそれだけではありません。

駅から200mほどの位置に喫茶店を見つけて休憩後、
私も次項で書きます同種の焦点距離のレンズにスイッチしましたので、
二人ともほとんど同じ焦点距離の標準レンズで撮影したのですが、

    まったく同じ方向、スタンスからまったく同じ構図で撮っている写真が、
    何枚も何枚もあった!
    今朝、Petzvalさんの写真をじっくりと拝見して、
    この事実を発見して、びっくり仰天しました。

ただの偶然であるとおっしゃる方もおいででしょうね。

    でも、写真を撮るという行為は、
    白兵戦で敵で素手で組打ちをするようなものです。
    どの瞬間も応戦は敵の出方次第。
    そんな白兵戦に偶然まったく同じ解答を出したのです。
    
偶然なんてものじゃありません。
ものの見方、感じ方にかなり共通するものがないと、
とても無理ではありませんか?

    本当に驚きました。



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by hologon158 | 2015-01-31 22:45 | ホロゴン外傳 | Comments(0)