わが友ホロゴン・わが夢タンバール

607.09 ホロゴントラベル28「2016年3月7日ホロゴン15㎜F8Mで三重の旅千秋楽に」9 ブラインドで?


はっきり言ってまったく意味のない実験を読みました。
wikipediaの「アントニオ・ストラディヴァリ」記事。
「世界的」とされる演奏家たちに現代のヴァイオリンと
ストラディヴァリをブラインドで弾き比べをして、採点したのです。
その2度にわたる実験で得た結果?
現代のヴァイオリンの方がストラディヴァリよりも優れている!
ははーん、それじゃ、ストラディヴァリって、ただの伝説に過ぎないんだな、
そうお考えになりますか?

私は笑ってしまいました。
ちょっと自分の経験を考えてみても、わかります。
優れた楽器であればあるほど、
演奏者は楽器を選び、楽器は演奏者を選びます。
しかも、いったんこれぞと決めてから、本当の音が出るまでに、
どんな演奏家でも何年もかかると言います。

千住真理子さんはストラディヴァリの名器デュランティを手に入れたとき、
これまで使っていた愛機とのあまりの違いに驚愕して、
決死の勢いで手に入れたのですが、最初から覚悟していたそうです、
本当に鳴るようになるのは5年かかる、と。
どんな楽器でも、それが本当に名器かどうかは、
優れた演奏家がその楽器を愛して、自分の愛する曲を鳴らし込んで、
コンサートで、演奏家としての生命をかけて入魂の演奏をしたとき、
どれだけの音楽を生み出し、どれだけの感動を聴衆に与えるか、で決まります。

あなた、ブラインドデートで、
ある女性が自分が心から求める女性であるとわかりますか?
分かるわけがありませんね。
ストラディヴァリだって、同じことです。
冒頭のようなブラインドテストで分かることは、
初めて弾いても鳴る音を比較しているだけです。
心なんか籠もっていない。
まして、愛情なんかまるでない女性とデートするようなものです。

イギリスの世界的ヴァイオリニストヒラリー・ハーンが生き生きと、
念願のストラディヴァリが家に来た夜のことを語っています、
「ベットで抱いて寝ました」
なぜ?
それまで自分が使っていたヴァイオリンでは実現不可能な演奏が、
ストラディヴァリならできることが分かっていたからです。

ストラディヴァリを手から放せなくなった大ヴァイオリニストたちに、
一人一人聞いてみてください。
ストラディヴァリよりも現代ヴァイオリンの方がずっといいですよ、
なんて答える人がいると思いますか?
ストラディヴァリを使い始めることによって、
芸風も芸格も飛躍的に変貌を遂げる体験を重ねることで、
誰も手放せなくなってしまったのですから。
これが本当の比較実験です。

そんなことも分からないで、上記のブラインドテストの結果から、
現代ヴァイオリンの方がずっと優れた楽器なんだから、
現代ヴァイオリンにしましょ、
第一、家を売らなくていい、安上がりなんだから、
と本気で考えるヴァイオリニストがいると思いますか?

ブラインドテストが有効な分野があるでしょう。
でも、使う人の心が絡んでいるものであれば、どんなものであれ、
ブラインドテストなんてまったく無意味。

wikipediaは誰でも書き込めるのだそうですね。
だから、いい加減な記事が一杯あります。
この記事など、その最たるものです。
クラシック音楽を愛して、長年聴き込んできた人なら、
鼻から馬鹿にしてしまうような実験を大まじめに掲載して、
だから、ストラディヴァリの卓越性は伝説に過ぎなかったと、
大まじめに書く人って、どんな人なのでしょうね。

ザ・シンフォニーホールで千住真理子さんが、
スーク弦楽合奏団とブランデンブルグ協奏曲を演奏しました。
弦楽器4本だけで演奏する楽章で驚愕しました。
第2ヴァイオリンを合奏団のリーダーが務めたのですが、
千住真理子さんのデュランティの前では、ちょっと大げさですが、
モンブランの太字萬年筆とHBの鉛筆ほどに違って聞こえたのですから。
千住真理子さんがスークのコンサートマスターを圧倒していたことも、
私がさすがにストラディヴァリはすごいと思ったことも、
違いを増幅させる要因だったかもしれません。
しかし、なによりもストラディヴァリはストラディヴァリだったから、
そして、千住真理子さんが凄いサウンドで奏でたのも、
愛するストラディヴァリを弾いているから無敵なのだと信じていたから、
私はこのことを疑いません。




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by hologon158 | 2015-07-21 22:15 | ホロゴントラベル | Comments(0)