わが友ホロゴン・わが夢タンバール

618.04 ホロゴン外傅148「2015年10月10日マクロスイター26㎜F1.1が葛城古道で」4 吉田正写真展



10月24日土曜日、写真家吉田正写真展「emotion」鑑賞記。

ギャラリーClassは小さな横町にひっそり隠れています。
秘密結社につながるかのような目立たないけど異様な螺旋階段を上がります。
天辺に立って左に首を向けると、すでにギャラリー。
その空間に入った途端、
きりりと引き締まった雰囲気に満たされます。

そして、写真展「emotion」、
いきなりワープした感じにおそわれるようです。
見事なプリント、絶妙のショット、
emotion」という表題そのままに、
パリの息づかいが伝わってきます。

当麻寺のギャラリーですでに「emotion」の一部(重複あり)を使った
写真展を拝見しました。
いわば1つの大樹の2つの切り口を見せていただいた感じ。
それぞれに独自の味わいがあって、
それはそれとして、過不足のないイメージ世界を創造されています。
魔術師の手が開くと、トランプの意外な組み合わせが出現する、
そんな感じ。

近頃は、そのものとしてはあまり力のない複数の写真を、
いわばアルファベット、記号として組み合わせることで、
一つの情感、メッセージをアピールする作品にまとめあげる、
そんな写真展、写真集が隆盛を極めています。
吉田正さんの作品世界はそうした時流に乗らない。
それぞれに傑出した写真作品性を備えたミクロコスモス的作品を組み合わせて、
さらに大きな、一つの時代、社会、文化に生きる人間たちの人生を感じさせる、
そんな離れ業をやってのける写真アートを創造しておられるのです。

そんな吉田正さんの写真世界の大きさを知っている私としては、
ちょっと、というより、大いに不満を感じました。
なんだか大阪城を今日は大手から、明日は絡め手からと、
分散攻撃しているような感じ。
全体を一つにまとめて、
吉田さんの写真世界を一望させるに足りる空間を持つギャラリーで、
いわば唯一無二の「emotion」を見せてほしかった、
というのが正直な印象です。

ギャラリーそのものはすてきな空間を用意して、
写真展空間としてはかなり優れています。
でも、吉田正さんの作品を呈示するにふさわしいギャラリーであるかと言うと、
かなり疑問です。
しかも、かなり重大な疑問。

①知名度もアクセシビリティも低いギャラリーなので、
上質な写真鑑賞者、愛好家たちを遠ざけてしまっているのでは?

②写真家や写真評論家のような専門家層も切り捨てているのでは?
吉田正さんをすでに知っている層に、
吉田正さんの真価を知らしめる機会にはなっていますが、
吉田正さんという一個の写真家を知らない、
でも、吉田正さんの大きさを正しく理解できる層に扉を閉ざしている、
そんな感じがします。

③大きなテーマを展開しにくいギャラリーではないか?
小さなフォーマットの写真に尽きせぬ意味と魅力を凝縮して、
凄みさえ感じさせる作品世界が思う存分歌を歌っているか?
そう問うと、いや、かなり限界が大き過ぎるのでは?

世界に向かって大きく開かれていない場所での写真展を続ける限り、
吉田正さんの傑出したアートが、言葉は悪いですけど、
閉ざされた少数のファンだけの秘蔵財産になる運命に陥りかねない、
そんな感じさえして、残念。

もちろん今でさえ多忙を極める写真家人生が、
コントロール不能なまでに増幅される危険がないわけではありません。
一世を風靡した大写真家たちが、
自己の写真世界を心行くまで発展させることなく、
いたずらにマンネリ化していった先例を、
余りにも多くごらんになっているので、
自己の世界を堅持する一つのポリシーを貫いておられるのだろう、
そう重々承知しつつ、それでも思ってしまいます、

吉田正さんを知らない日本中の写真愛好家たちはかわいそうだな。
そして、吉田正さんの作品たちもちょっとかわいそうだな。

私のこのような不満は、吉田正さんの意向、志にぜんぜん沿わない、
ということは承知しつつ、繰り言させていただきました。





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by hologon158 | 2015-10-28 12:18 | ホロゴン外傳 | Comments(0)