わが友ホロゴン・わが夢タンバール

744.00 美との対話4「2018年9月26日日本の秘仏たちのふっくらの美しさに打たれ」



図書館で「日本の秘仏」(平凡社)を借りました。
各地のお寺の秘仏を特集したもので、
見事な精密描写の仏様の写真が並んでいます。
掲載写真をお借りしてブログに記録するときには、
デジタル写真の記録性のメリットを感じます。
複写しても、あまり画像が劣化しません。

でも、仏様としてのありがたみはかなり薄れてしまう感じがします。
美女の肌をシミ、そばかすまで写し取ってしまうのに似ています。
写りすぎです。
デジタルカメラやデジタル写真ソフトは、
そうしたシミ、そばかすをデジタル処理してしまいます。
現代の映画やポートレートに浮かび上がる美女たちは、
精緻きわまりない化粧に画像処理が加わって、
天女のようで、現実の女性とは完全に異質な存在です。
孫の家でテレビを見ましたが、
あらゆる番組の登場人物が毛穴一つない妖精じみた真っ白お化け。
強烈な違和感を覚えました。
みなさん、慣れてしまったのでしょうか?
結局、テレビに出現する存在はすべて人間ではない、
ただの映像、イメージなのです。

ちょっと話が逸れましたが、
デジタル処理でいやが上にも精緻な画像に処理された仏像たちは、
私が複写してブログに掲載するレベルになると、
かなり現実の存在に近い位に画像が劣化します。
まだ我慢ができる程度。

昔、新薬師寺の十二神将を撮影したいと思ったことがありました。
でも、特別撮影許可をもらうためには10万円ほども要ると聞いて、
諦めました。
そのときも、断念することに躊躇はありませんでした。
写真家ではないのです。
それだけのお金を出して三脚に35mmカメラを据えても、
どうせ補助光はストロボ1灯かせいぜい2灯。
陰の多い不自然な明暗のさえない仏像写真が撮れただけでしょう。
仏像写真家たちが撮った傑作仏像写真をお借りして、
ブログ記事を作るなら、安上がりだけではなく、
私なりに仏の心を感じることができるかも知れません。

仏教国はいくつ位あるのでしょうか?
そして、仏像を安置した仏教寺院のある国はいくつあるでしょうか?
私は知りません。
私が知る限りでは、元祖インドのほか、
中国、タイ、ビルマ、ラオス、カンボジア、韓国、台湾、
そして、日本でしょうか?

おもしろいことに、顔が少しずつ違うのです。
お国柄、民族色がしっかり反映されています。
同じブッダがそれぞれの国の人に似ていますね。
インドでは、ブッダははっきりインド人です。
中国も、インドほどではありませんが、中国民族的です。
日本の場合は、仏教が外来宗教であるせいでしょうか?
やや異国的、つまり、中国的という感じがします。
はっきりと日本人に似た仏像と言えば、石仏でしょうか?

今回収録の仏様たちは一定時期の限定公開秘仏ばかり。
かつては、秘仏にもひっそりお目にかかることができました。
今はおそらくワンサワンサの群衆に揉まれかねないでしょう。
参りません。


1 5349 滋賀県大津市 盛安寺 十一面観音立像

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2,3 滋賀県守山市 福林寺 十一面観音立像

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4 京都府加茂町 浄瑠璃寺 吉祥天立像

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5,6 滋賀県大津市 園城寺 訶梨帝母倚像

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7 奈良県斑鳩町 法隆寺 救世観音立像

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8 奈良市 五劫院 五劫思惟阿弥陀像

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9 広島県尾道市 摩訶閆衍寺 十一面観音立像 

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実はこの記事を書く前に、
「日本の秘仏」は図書館に返してしまいました。
すでにパソコンに取り込んでおいた画像の順に、
私愛用のテキストエディタMiにデータを記載しました。
ところが、いざ画像をブログに取り込む段になって、
なぜかどれがどれやら分からなくなってしまいました。

そこで、ネットで検索してみたのです。
驚きました。
私が本書から取り込んだ画像としっかり対照できる、
そんな精密画像はネットにアップされていない!
秘仏は、ネットにさえも公開されていない?
そうすると、そんな秘仏たちを精密画像で掲載する、
この「日本の秘仏」は、本気に秘仏たちのお姿を拝見できる、
数少ないチャンスを提供してくれているのかも知れません。
実際にお寺で拝観できたとしても、
厨子の奥深くに収められて、間近に近寄れないでしょうから。

もう1つ、面白い発見。
秘仏には、観音様を初めとする女性像が圧倒的に多い!
これも当然でしょうか?
上代からお寺さんたち、その美しさに酔いしれるあまり、
ちょっと恋心も手伝って、
「俗人たちになど見せるのはもったいない!」

そんなかなり俗っぽい想像をしてしまうのは、
観音様たちがとても美しいからなのでしょう。
制作年代はさまざまなのでしょう。
でも、どなたもふくよかですね。
そのあたりからも、感じるのですが、
日本人はかなり長い間中国文化、中国思想の影響を受けてきました。
仏教も、直接インドからではなく、中国仏教のフィルターを通りました。
理想の女性像についても、もしかすると同様のフィルターがあり、
美女の理想と言えば、中国の美女を思い浮かべる伝統が、
日本には静かに定着していたのかも知れませんね。
そのおかげで、僧侶も仏師も信者たちも、
ふくよかな頬の容貌にとりわけ惹かれてきたのかも?




by hologon158 | 2018-09-26 18:46 | 美との対話 | Comments(0)