わが友ホロゴン・わが夢タンバール

32.15ホロゴンデイ12「2006年11月20日大阪心斎橋界隈」15 玉鬘の美しい姿を浮かび上がらせる蛍


日本の文学史上もっとも美しい光景はなんでしょうね?
私は、そんなに沢山日本文学を読んではいないのですが、
「源氏物語」にさまざまな美しいシーンを読むことができました。
ちなみに、もしお読みになりたいと考えている方がおられたら、
「新潮日本古典集成」で、原文でお読みになることを極力お勧めします。
私は古文が大の苦手。
そんな古文が苦手な人間でもすらすら読めるように、
文章の横に小さく赤字で現代語訳が付けられています。
古文を読むのが億劫になり理由の一つに、
一々別欄の注釈を読まなければならないことがあります。
それが不要なのです。
そして、どんどん読んでいく内に、もう赤字が目に入らなくなります。
次第に源氏物語の言葉遣いに慣れ親しむことができるからです。
さて、その「源氏物語」の「蛍」の章。
ここに、私が文学史上最高のビジュアルシーンを見つけました。
詳しい説明は省きます。
光源氏は、引き取って娘同然に育てている玉鬘(たまかずら)を
自分の弟兵部卿の宮に引き合わせようとします。
でも、玉かずらは未婚の女性ですから、燈火を落とした一間に。
これでは、玉鬘を弟に見せることができません。
そこで、御簾を隔てての対面の瞬間、
源氏はいっぱいの蛍を玉鬘のいる一間に放ちます。
蛍は、玉鬘の美しい姿をほのかに浮かび上がらせ、
目論んだとおりに、弟の恋心をかき立てるのです。
なんという美しいイメージ!
なんというビジュアルな表現力。
ここにも、言葉による写真的表現の一例があります。
近ごろ、andoodesignさんが火付け役となったのでしょう、
超大口径のレンズ探しが燎原の火のように拡がっています。
クセノン50mmF0.95のようなレンズであれば、
蛍が浮かび上がらせる玉鬘の姿を写真にすることができたかもしれませんね。
私は、ホロゴン15mmF8なので、そんな宵闇のシーンを撮るのは論外。
Andoodesignさんたちに、
そんなこの世と思えないような美観の撮影を期待することにいたしましょう。
ここでは、ホロゴンで撮った写真で我慢してくださいね。
暮れなずむアメリカ村の雑風景を選んでみました。

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by Hologon158 | 2008-10-12 21:12 | ホロゴンデイ | Comments(2)
Commented by yoshipass at 2008-10-13 00:03
>宵闇のシーンを撮るのは論外。
とおっしゃっていますが、そんな事はありません。
Hologon158 さんの露出のとり方と、少しの周辺光量落ちとで、
視線が自然に主題へと向かう写真になっています。

玉鬘の美しい姿は、ふわりと浮かび上がっています・・・魅力的な写真です。
ボクもいつかは、そんな写真が撮りたいと思っています。

Commented by Hologon158 at 2008-10-13 00:14
re)yoshiさん
ありがとうございます。
本当のところ、夜の写真はきらいじゃありません。
だから、ホロゴンのシャッター速度を15分の1秒か8分の1秒にして、
身体や柱に押しつけて、絞るようにして撮ります。
たいてい撮れています。
でも、映像の大部分がまっくら。
あのミューズの舞踏のような曼珠沙華を撮ったyoshipassさんなら、
きっと玉鬘が撮れますよ。