わが友ホロゴン・わが夢タンバール

33.12ホロゴン写真展「1998年1月冬のネパール」12 どうして扉に鍵が一杯ついてるの?


ネパールで不思議なことの一つ、
扉に鍵がどっさり設置してあること!
2、3個はざら、5、6個が重なるようにしてバーに設置され、
がっちりと扉を固めているのも稀ではありません。
それだけ、空き巣、強盗の危険が増大しているのでしょうね。
実は、ネパールにも、十年前から経済不況が階層社会と絡み合って、
貧富の差が増大し、社会不安、経済不安が次第にたかまりつつあるようです。
この情勢が極限近くまでたかまってきたことは、
先頃のニュースで皆さんもよくご存知のところです。
9とはちょっと論旨が矛盾するようですが、
世界経済がネパールを押し流してしまう危険もないわけではないようです。
扉の鍵の数がそんな不安の大きさを物語っているようです。
私は、ヨーロッパでは、二度ばかりスリに遭ったりしましたが、
怖い目、いやな目に遭ったことは一度もないのです、
ヨーロッパでもアジアでも路地裏ばかり歩いてきたのに。
どちらかと言うと、貧相な風体で、いつも薄汚れた服装、
そして、これは絶対的にそうなのですが、
金なんか、ちっとも持っていそうにないこと、
そのうえ、路地裏に金のある奴が来るはずがないということ、
こうした点がその理由なのだろうと推測します。
しかし、もっと根本的な理由を私は知っています。
それは、路地裏には悪人はそんなに多くいない!
ほんとうの悪人を捜したかったら、
中央の政界、官界、財界を探しましょう!
いかにも善人そうなみせかけ、
いかにも偉そうな風貌、
いかにも民衆の味方のような振る舞い、
そんな立派な人物を見たら、偽物と思って間違いがなさそう。
経験を積んだ検事さんがこんなことを言っていました、
「これまで出会った大物の悪党はみんな、
私がこれまで出会ったもっとも立派な風采の人物でした」
ほんものの善人、
ほんものの人物って、
みかけは並、普通なのですよね。
だって、本物は見かけを気にしないのですから。
この考え方を今回の写真に逆に適用してみますと、
この家、いかにも頑丈に施錠してありますが、
実は金目のもの、ほとんどないかも知れませんね。
33.12ホロゴン写真展「1998年1月冬のネパール」12  どうして扉に鍵が一杯ついてるの?_c0168172_17475857.jpg

     [撮影メモ]
      これはもちろんホロゴン。
      暮れ方の黄金の時間です。
      例の水平垂直撮影法がこんな光景にはぴったり、
      などと考えて撮ったわけではありません。
      私はこの撮り方しか知らないのですから。
      でも、ここでは成功だったように思います。
      ホロゴンって、どんなに歪曲の少ないレンズか、
      よくお分かりいただけるはず。
      こんな折り目正しい写真が水平垂直を守るだけで、
      ノーファインダーで撮れるのです。
      どう? 使ってみたいと思いませんか?
by Hologon158 | 2008-10-15 17:53 | ホロゴン写真展 | Comments(6)
Commented by andoodesign at 2008-10-15 21:10
やっぱりスゴイですね、Hologon158さんは...
その視点、光と影、歪みの無い描写はも無論、迫って来る様な質感描写には圧倒されます!
もちろん、使ってみたいです!いつか、元祖ウルトラワイドを。
Commented by Hologon158 at 2008-10-15 22:41
re)andoodesignさん
ありがとうございます。
ホロゴンの良さは、シャドウにあるように思います。
たとえば、ドアの右半分と右下部分。
たいていはスパンと切れたようにブラックアウトしてしまうのに、
ホロゴンの場合、黒の中に黒があり、その黒の中にまた黒があるという感じで、
グラデーションが感じられます。
おとなしい描写、おとなしい撮り方ですが、これは私の平凡な性格のせい。
もっと独創的な性格の方なら、もっと強烈な撮り方もできるレンズだと思います。
Commented by まこっち at 2008-10-15 23:55 x
こんばんは。
質感のあるいい写真ですねぇ
こんな写真を見せられてしまったので、今度は広角にチャレンジしたくなりました(笑)
でもまだ被写体に近寄れません(涙)
Commented by GG-1 at 2008-10-16 00:26
いやいや
その水平垂直を守るってのが私にゃ難しいんですわ
ファインダーを覗き乍ら撮っても、な~んか曲がる
性格の問題ですかな
Commented by Hologon158 at 2008-10-16 10:12
re)まこっちさん
人があるレンズで撮った写真が魅力的だと、
自分もそのレンズを使ってみたくなるのは、私も同様です。
でも、長年の苦い経験で分かりました。
同じように魅力的な写真を撮るのは無理だということ。
人とレンズと場所との出会いが写真を生み出します。
この三位一体のどれを欠いても、レンズは生きてこない。
運命の出会いを待ってください。
まこっちさんは、近ごろ、ヘクトール73/1.9に出会いましたよね。
女性と同様です。
「ぼくにはお前しかないんだよ」、
そうレンズに信じてもらえるように振る舞ってください。
あのレンズ、猛烈に面白いですよ。
絞りで表情ががらっと変わります。
そのどれもが魅力的ですよ。
奥様にも時々「愛してるよ!」って言ってますか?
Commented by Hologon158 at 2008-10-16 10:15
re)GG-1さん
ホロゴンウルトラワイドには、上に水準器がちゃんと付いています。
ないカメラには、小さな水準器をアクセサリーシューに付けます。
これを見ながら、水平を腕に覚え込ませる、
それが私のやってきたことです。
気が付いたら、水準器なしで水平に撮れるようになっていました。
性格の問題ではなくて、単なる練習の問題です。
垂直は難しいですね。
未だに完全になりません。
いい方法ありませんかね?